決意と不言実行

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Date:2013.01.27

若者は自分の未来について決断ないし決意する。その決断や決意は、現状からの飛躍を意味する。飛躍には、多くのハードルが付きまとう。そのハードルを乗り越える意志が固いことを示したいのが人間である。多くの人は、自分を鼓舞するために、その決意を他者に伝える。夢を語る若者は、周囲や社会にとっても明るく勇気付けられるものである。周囲の人も若者に未来を尋ねる。その相乗効果で、相互理解を深め信頼を醸成し積極的な社会が作られていく。

私も、若者に未来を尋ねる。現在は、法科大学院にいるので法科大学院生に尋ねる。すると、新司法試験に合格すること、弁護士として活躍することと応える。決意は固い。時間と金を賭け、自分の成長目標とする法曹を具体的にイメージして語る。その法曹になるための関門である新司法試験が、5月に迫る。

受験をする人は、声を大にして「新司法試験に上位合格するぞ」と、あるいは謙虚に「新司法試験に合格したい」と言う。目標は明確である。しかし、決意を高らかに表明すると、半分目的を達成した感がないであろうか。あるいは、努力の緊張感が薄れないであろうか。ここは、皆同じ道を歩むのであるから、具体的な目標を今回は語らないで黙っておくことにしてはどうであろうか。そう、「不言実行」の伝統的なスタイルをとって挑戦してはいかがか。

これは、「負の予想の自己展開」についても言える。自分の知識は少ない、表現力が劣る、法論理的な思考が身についていない、あるいは、試験に弱いなどという客観的な評価の衣に包まれた「負の予想」もやめよう。負の予想は、「自己展開」すると言われる。負の予想を言うことによって、決意との間に生じるストレスからは解放されるが、その予想は、現実化する可能性を増す。

今は、夢や過去未来を語ることを我慢しよう。只管、自らなすべき今日の課題をこなしていこう。その先に、君の未来を現実化する門戸が開かれることは確実である。そして、できれば、友人に激励のエールを送り、友人の悩んでいる論点について教えてあげることによって、人のためのひと時を過ごし人間としての満足感を感じてはいかがであろうか。

インフルエンザやノロウィルスが流行しているという話もあるので、健康には十分にご留意していただいて、不言実行の道を歩んでみてはいかがでしょうか。(H)

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