養成しようとする法曹像、教育理念と3つのポリシー
駒澤大学大学院法曹養成研究科(法科大学院)の養成しようとする法曹像、教育理念と3つのポリシー(アドミッション・ポリシー、カリキュラム・ポリシー、ディプロマ・ポリシー)は以下のとおりです。
養成しようとする法曹像
駒澤大学は、「仏教」の教えと「禅」の精神を建学の理念とし、曹洞宗開祖の道元禅師の「修証一等」(「修」とは智慧(物事の本質の洞察)と慈悲(あらゆるものを大切に扱う心)による自己形成をめざすいとなみをいい、「証」とはその理想の姿をいう)、すなわち修行と悟りは一体であり、理想の「証」は日々のいとなみである「修」の中にこそ活きている、との教えを、教育・研究の理想的なあり方として、「行学一如」、すなわちただひたすら修行をすることと教えを学ぶこととは根源において同じであると表現している。
法科大学院設置の理念である「理論と実務の架橋」は、「行学一如」そのものにほかならない。
本研究科は、法曹としての専門技術的な能力にとどまらず、人々を助け社会に貢献する活動をただひたすらに行うことを通じて人や社会に対する共感能力、洞察能力を磨き豊かな人間性を備えることに努める「人に寄り添い、社会と繋がる法曹=駒澤法曹」を養成することを社会的使命とする。
教育の理念
本研究科は、教育基本法、及び学校教育法の定めるところにより設置された専門職大学院であり、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律の定めるところに従い、高度の専門的な能力及び優れた資質を有する多数の法曹の養成を図り、もって、司法制度を支える人的体制の充実強化を図るために、法曹に必要な学識及び能力を培うことを設立目的とし、駒澤大学の建学の理念(「仏教」の教えと「禅」の精神)の中で、教育・研究の理想的なあり方を表す言葉として用いられる「行学一如」を、本研究科においては、「実務と理論の一体性」として展開し、これを架橋する教育をおこない、もって、仏教の高い倫理観に基づき、人間や社会のあり方に関して広く関心をもち、多様な分野における社会貢献を通じて、不断の自己研鑽に努め、人や社会に対する共感能力、深い洞察能力を高めることができる「人に寄り添い、社会と繋がる法曹」を養成することを教育の理念とする。
アドミッション・ポリシー ~ 入学者受け入れの方針
本研究科は、入学者の選抜において、公平・公正・客観的な手続に基づき、大学の学修分野を問わず、かつ、社会的経験を有する者を含めて、駒澤大学の建学の理念及び本研究科の教育の理念を体現する「駒澤法曹」となるべき、次のような資質、能力及び意欲のある者を、自己アピール書及び添付書類、プレ・リポート(未修者)又は法律論文試験(既修者)、面接を通して、多面的・総合的評価に基づき選抜し受け入れる方針である。
- 相手の苦悩を自分の苦悩として受け止め、その「こころ」に寄り添って、相手が笑みを取り戻し、「こころ」に平穏を与えることを自分の喜びとしうる者
- 個を尊重し個性を認め合い、人に深い慈しみのまなざしをもって人としてきちんと向き合い、ともに支え合って、思いやりのある社会を築く意欲のある者
- 人と社会の関わり合いについて深い関心をもち、広い視野から人と社会の多様で複雑な問題に対して、高い責任感と倫理観をもって、人に寄り添い、社会と繋がる法曹=駒澤法曹としての社会的使命を果たしていく能力及び意欲がある者
入学者選抜にあたっては、つぎの諸点に基づき、多様な角度から、総合的に判断する。
[1] 自己アピール書及び添付書類
自己アピール書及び添付書類に基づく法曹志望動機・本研究科志望動機の明確さと強さ、文章コミュニケーションを介した社会性や柔軟性(バランス感覚)の有無・程度、及び学業成績、社会的経歴、取得資格などによる、全般的な基礎力の有無・程度。
[2] プレ・リポート(未修者)
プレ・リポートに基づく文章表現(文章コミュニケーション)を介した基礎力の有無・程度、論理的思考力、分析力、表現力(文章構成能力)、課題処理能力の有無・程度。
[3] 法律試験(既修者)
憲法、民法、刑法について、本研究科の1年次の学修を終えた者と同等以上の学識の有無。
[4] 面接
対面的な交渉(対面コミュニケーション)を通じた基礎力(上記1)の有無・程度、面接課題に基づく論理的思考力、分析力、表現力、課題処理能力の有無・程度。
さらに、未修者については、プレ・リポートを題材にして、対面的な交渉(対面コミュニケーション)を通じた基礎力の有無・程度、論理的思考力、分析力、表現力、課題処理能力の有無・程度。
カリキュラム・ポリシー ~ 教育課程編成・実施の方針
駒澤大学の建学の理念及び本研究科の教育の理念を具体化したものとして、本研究科の学位授与の方針に掲げる知識・能力、及び資質を涵養するために必要な科目を、法律基本科目群、法律実務基礎科目群、基礎法学科目・隣接科目群、及び展開・先端科目群の4つの科目群に分け、学年進行に合わせて、基礎的分野から応用・発展的分野へ、個別的分野から総合的・横断的分野へ、理論領域から実務領域へと段階的・体系的に配置した教育課程を編成し、実施する。
[1] 法律基本科目群
法律実務基礎科目及び展開・先端科目を履修する上でその理解と修得が必要な科目群であり、公法(憲法、行政法)、民事法(民法、民事訴訟法、商法)、刑事法(刑法、刑事訴訟法)の基本3分野7科目について、段階的ないし総合的・横断的に学修することを通じて、各分野の法理論に関する基礎的かつ汎用的な理解、及び法運用能力・実務への応用力を涵養し、駒澤法曹として必要な総合的な事案解決能力を涵養することを目的とする。
[2] 法律実務基礎科目
法律基本科目で学修した法理論の実務への展開として理論と実務の架橋を強く意識した科目及び実務教育の導入部分にあたる科目からなる科目群であり、実務家教員によって演習形式や実習形式を中心に展開される実践的・臨床的科目を配置し、法曹としての倫理観・責任感・使命感、法的分析・推論能力、及び法情報へのアクセス能力・プレゼンテーション能力、法律実務において必要とされる事実調査・分析・認定能力、表現力・説得力、コミュニケーション力など、駒澤法曹として必要なマインドとスキルを涵養することを目的とする。
[3] 基礎法学及び隣接科目
人・社会と法の関わり、社会と法制度の関わりと成り立ち、外国の法制度を学修することを通じて法に対する理解を深化するとともに、法に隣接する科目を学修することを通じて法に対する理解を学際的に広げ、駒澤法曹として必要な多元的・複眼的な視野の広がりに対する根本的な知見と理解とを獲得することを目的とする。
[4] 展開・先端科目
法律基本科目の応用となる展開科目、より高度で専門的な先端科目を学修することを通じて、駒澤法曹として必要な専門的法分野を確立するための基礎力を獲得すること、さらには大学院博士後期課程入学に必要な能力を獲得し、法科大学院研究者教員の養成や渉外事務所への就職など、多様な職域で活動するための基礎力を涵養し、高度専門職業人を養成することを目的とする。
ディプロマ・ポリシー ~ 学位授与の方針
本研究科は、所定の年限を在籍し所定のカリキュラムに沿った教育を受けて、必要修得単位を含む所定の単位を修得し、駒澤法曹の資質として必要な駒澤大学の建学の理念及び本研究科の教育の理念を体現し、次に掲げる知識・能力を備えた者に、法務博士(専門職)の学位を授与する。
- 基本的な法分野に加え、法律実務の基礎的知識、基礎法学や法律に隣接する分野、及び展開・先端的な法分野に関して必要かつ十分な知識を有するとともに、社会に生起する様々な事象に対して問題を発見し、法的知識を活用して解決する能力、及び法律実務において必要とされる分析力、表現力、コミュニケーション力を身につけている。
- 仏教の高い倫理観に基づき「人に寄り添い、社会と繋がる法曹=駒澤法曹」として、多様な分野において社会に貢献する活動を通じて、不断の自己研鑽に努め、人や社会に対する共感能力、洞察能力を高めることができる。