第一東京弁護士会有志による法科大学院授業見学検討会
Date:2012.07.05
平成24年7月3日(火)午後1時~午後6時まで、本学と提携している第一東京弁護士会「法科大学院検討委員会」「法曹人口検討委員会」の有志からなる7人の高名な弁護士の先生方が本学をお訪ね下さり、当日法科大学院棟で行われている「憲法Ⅰ」「民法Ⅴ」(1年次生対象)、「民事訴訟法特別演習」「商法特別演習Ⅰ」(2年次生対象)、「行政法発展演習」(3年次生対象)の授業を参観された。
その後、参観された先生方と本学教員との間で、授業に関する先生方のご意見を中心に、司法試験、法科大学院制度、法科大学院出身法曹の特徴等について、忌憚のない意見交換が行われた。
法科大学院生の自主的・積極的学習を基礎に置き、従来の予備校的な無制限の受験指導を抑制するために導入されている「授業回数制限」内での各科目の授業内容は、初年次から修了までの教育プロセス全体を視野に入れて構成する必要があり、難しいことであるが、その努力は認められた(各科目の「到達目標」設定済み)。
一方、実務的な観点からは、具体的な事案を例にとり、あるいは、実際の事件処理の追体験、DVDなどの資料に基づいたイメージを先行学習させる必要があり、その有効性についての指摘ないし助言があった。
また、双方向授業が教員の質問と学生の回答にとどまっていること、あるいは、議論の発展の予兆を認識しながら講義時間との関係で中断せざるを得ない点、講義時間の制約はあるが多方向授業をもっと考えるべきであるとの初心回帰の必要性も指摘された。
ご訪問いただいた弁護士の先生は、他の法科大学院の授業についても最近ご見学をされており、比較ができるお立場であったが、大規模校と本校の授業力比較において、遜色はないとのご評価をいただいた。
法科大学院制度全体については、基礎力の修得程度に四苦八苦している現状から、より発展的に実力を身につける覚悟での学修が、法曹界から望まれていることを自覚すべきであるとの意見も伺った。
「基礎力修得で問題となるのは、『文章力』である。論理的であって、読んでスッと入ってくる流れのある文章作成に努力をすべきである。真の実力のない人の法律文書は、主語述語の不一致、論理の破たん等の特徴がある。そのための文章作成教育もしっかりと行うべきである」とのご意見も拝聴した。
優秀で品格のある法曹を輩出していくという目標を堅持したうえで、そして様々な制限的諸条件の中で、目標達成のための具体的方策をどのように行うか、教員はどのような心構えで如何に行動すべきか。
すべての学生は、良き法曹になれる可能性を有している。天才だけが法曹になるというのではない、誠実で困難に打ち勝つ精神力を兼ね備え、真摯な努力を継続できる人こそ、「人に寄り添う」真の法曹である。
法曹への熱い夢を持つ人が、本学法科大学院の門を叩いてくれることを願っている。(H)