中国語概要
中国はすぐ隣りの国
悠久の歴史に彩られ、日本の26倍にも達する大地に広がる中国語は、海を隔てた隣国の言語です。長い文化交流の中で漢字を共有し、私たちには親しい存在です。近年、大学における中国語受講生はとても増えています。
標準語を学びます
中国は多民族国家です。それぞれ固有の言語と文字を持つ少数民族も多く、漢族が使ういわゆる「中国語」は中国では「漢語」と呼ばれます。その「漢語」もいくつかの方言に大別されます。たとえば「広東語」は香港や広東省、「閩南語」は台湾や福建省南部、「呉語」は上海や江蘇省で話されており、異なる方言では会話が通じないと言われます。駒澤大学で学ぶ中国語は「普通話」と呼ばれる標準語です。これは中国全土に普及しているだけでなく、台湾の標準語である「国語」や、東南アジアの「華語」とも高い共通性があります。
入門から応用まで
4人の専任教員とネイティブを含む多数の非常勤講師が皆さんといっしょに異文化へのアプローチに挑みます。入門、初級(ⅠA、ⅠB、ⅡA、ⅡB等)から、より高度な学習に備えた各種選択科目を設けています。
課外学習も盛んです
台湾・淡江大学での夏期中国語セミナー、交換留学生の派遣(上海:華東師範大学
台湾:淡江大学[新北]、義守大学[高雄])を行なっています。学内には学生による公認サークル「中国語研究会」もあり、専任教員による課外指導も盛んです。ですから、その気になりさえすれば、使える中国語がマスターできるのです。
発音が楽しい!
中国語は、一つの音節(一文字)ごとに固有の調子をもった、美しいリズムの言語です。そのさわやかな響きをマスターするために、教室では大きな声で発音練習をしてください。
よいスタートを!
高校段階で中国語を学ぶ機会は、まだあまり多くありません。既習の言語とは違い、いわば、クラス全員が同一地点からスタートします。何事も初めが肝心です。中国語では1年生が必修科目として学ぶⅠAとⅠBは同じテキストを使いますから、週2回の授業が連続した内容で無駄なく進んでいきます。
漢字だから書かれたものはかなりわかる、という有利さを活かしつつ、音としての中国語をしっかり学んでいきましょう。
教員紹介
教授:小川 隆
【中国語】
主な担当科目:中国語各科目、中国語コミュニケーションⅡ
第一研究館6F 1601号室 内線9505
むかし禅学科に入学したとき、必修の外国語として中国語を履修したのが、私のこの言語との出逢いでした。高校までひどい落ちこぼれであつた私は、中国語を通して初めて勉強の楽しさを知り、さまざまな分野に知的な関心を向けるようになりました。駒澤大学での中国語との出逢いが、自分にとっての「世界」との出逢いであり、人生の目覚めであったと言っても、決して言い過ぎではないと思っています。
駒澤大学には中国学科も中国文学科もありません。しかし、専門学科のほかにもうひとつの得意分野として中国語を習得することは、たいへん意義あることですし、駒澤大学には、それをやるだけの十分な条件が用意されています。たとえば、もう20年以上つづいている「中国語研究会」という課外活動も、そのひとつ。今は顧問の私も、かつてはその学生のひとりでした。現在も多くの学生が参加し、中国人留学生の皆さんの協力を得ながら、毎週の学習会を楽しくやっています。そこから、大学の制度を利用して、中国への短期留学・長期留学に参加したり、卒業後、中国語を活かした道に進んだ人も少なくありません。
大学では、中国語教育に従事するかたわら、中国の禅の語録の研究に従事しています。中国の古い口語の語彙や文法を調べながら、昔の禅僧の禅問答を読み解いてゆく仕事です。あまりの不可解さに頭を抱えてしまうこともしばしばですが、そのいっぽうで、何百年も前のものとは思えない、新鮮な生命力あふれる言業に出逢う醍醐味は格別です。私にとって中国語の仕事と禅語録の研究は、たがいに切り離せないものとなっています。
「現代を読む中国語」で扱う素材のほとんどは中国の報道記事です。
中国の報道が権力の管制下にあることはよく知られています。報道に出てくるものは、すべて大っぴらに公開してよい「建て前」の世界です。そうしたうわべだけ眺めていても中国の「本音」や真の姿は見えてこないという言い方は、半分は当たっています。
しかし半面、中国における「建て前」は、一般に日本人が考えるほど価値の低いものではありません。国家の大事から庶民の日常生活まで、それなしには意思の達成が難しいという点で、「大義名分」に近いものです。建て前の裏にひそむ本音を読むのもチャイナウォッチには必要かもしれませんが、まずは中国で重んじられる大義名分のところで、相手が言ったり書いたりしている内容を理解する力をそなえることが、相互理解とコミュニケーションの第一歩です。
「現代を読む中国語」では報道記事を材料に、中国語と現代中国に対する基礎的読解力を身につけることを目指します。
講師:神谷 智幸
【中国語学】
主な担当科目:中国語各科目
研究テーマ: 博士論文では、現代中国語(共通語)の授与動詞「給」の文法化(機能語化)について研究。非母語話者の研究者には母語話者のような語感がないという弱点はありますが、母語話者とは異なる視点から、見過ごされがちな中国語の持つ特性の一側面を発見することができるという強みもあります。
学生へのメッセージ: 大学ではみなさんひとりひとりが「主人公」です。ひとりひとりがより輝くことができるよう教員として全力でサポートする意気込みですが、みなさんも失敗を恐れずに様々なことに挑戦してみてください。新しい言語の学びもそのひとつです。私自身も駒澤大学入学時には、その後の大学生活で、中国語で自己紹介したり、友人たちと語らうだけでなく、あるコンテストにて中国語で(曹禺の『雷雨』という劇の一場面を)演じることになる「自分」の姿をまったく想像できませんでした。今の「自分」がまだ知らない「自分」に出会えるかもしれません。本学では、授業のほかにも、課外学習、(情勢が落ち着けば)短期留学や長期留学など、充実した学習支援と制度が整っています。中国語を一緒に学びませんか。
講師:趙 偵宇
【台湾文学、中国文学】
主な担当科目:中国語各科目、中国語で学ぶ教養(人文)
台湾出身の私にとって、母語である台湾語・中国語以外の日本語のような他言語の学習がとにかく楽しいです(ちなみに最近は韓国語にも興味が湧いています)。好きだから興味を持ったのでしょうか。それとも興味を持ったから好きになったのでしょうか。おそらくどちらも正解だと思います。
言語には世界が宿っています。その世界の文化や歴史を理解するための入り口と道そのものです。漢字文化圏である日本は、従来中国語圏の国々や地域と深いつながりを持っています。日本人の皆さんにとって、中国語に関心を寄せることは、中国語圏を理解するきっかけになるでしょうし、やがて自分自身の日本文化への理解も深まるかもしれません。私は台湾や中国の文学を研究していますが、近年、日本の漢詩文についても触れるようになり、今までと異なる視点から自身の考えを再構築する機会を手に入れました。
そういえば、いま私たちの身近にあるK-POPアイドルグループに日本人や台湾人や中国人メンバーが欠かせない存在になっていることはもはや周知の事実と言えましょう。アイドルのライブ放送やネット番組ではメンバーたちが中国語で話し合い、世界中のファンの皆さんと交流するシーンもしばしば見られます。「推し活」をするには、もはや一種類の言語を習うだけでは不十分になりつつあると言えます。他言語の学習は楽しいものです。大学の第二外国語履修を機に中国語に触れてみませんか。