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論文の教室 レポートから卒論まで(戸田山 和久著)

眼横鼻直(教員おすすめ図書)
Date:2017.03.01

書名 「論文の教室 : レポートから卒論まで」
著者 戸田山 和久
出版者 日本放送出版協会
出版年 2002年11月 
請求記号 816/126
Kompass 書誌情報

大学での勉強では、高校までとはかなり異なることが要求される。これまでは、出来合いの正解に辿りつけばそれでよかった。しかし、大学では、それだけでは十分ではない。ときに、自分で新しい問いと答えを見つけて表現することが求められる。それゆえ、大学の授業では、レポートや小論文の提出がしばしば課題となる。さらには、卒業のためには卒業論文の執筆が求められることもある。

しかし、こういった文章をどのように書けばよいのだろうか。これがなかなかに難しい。もちろん先生たちからはさまざまな指示やアドバイスをもらえるが、言われてすぐそのとおりにできるかといえば、そんなわけがない、人生はそれほど甘くない。私もさまざまな大学でさまざまなタイプの学生さんのレポートを読んできたが、みなさん、かなり苦労されているようである。

ということで、本書の出番となる。論文課題が大の苦手の大学生、作文ヘタ夫の成長物語......という体裁で書かれた、論文執筆のための技法本である。私の周囲ではかなり評判がよく、これにお世話になった、いや、今でもお世話になっている、という人をけっこう見かける。「レポートを書きなさい」と言うときに、教師は学生になにを求めているのか。教師の要求に応えるためには、どのような準備をすればいいのか。どのように体裁を整えれば、論文らしい文章になるのか。引用のしかた、注のつけかた、参考文献の挙げかた、これらにはどのようなルールがあるのか。このあたりについて、必要な情報がほとんど載っている。学生のみなさんには、レポート課題に取りくむ前に本書を読んでおき、なにか困ったことがあったら該当する箇所を参照してみることをお勧めしたい。なるべくならば、直前泥縄付焼刃で読むのではなく、時間のあるときに気楽な読み物として一読しておくのがよいだろう。

総合教育研究部 講師 滝沢 正之

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