令和4年度 学位記授与式(卒業式)学長式辞
3月23日
学部卒業生の皆様、大学院修了生の皆様。
御卒業、そして、ご修了、おめでとうございます。
この日を心待ちにされ、長い間、物心両面でご支援くださいました御親族の皆様に対し、改めまして心よりお祝い申し上げます。昨年に引き続き、こうして対面での卒業式が挙行できましたこと、大変嬉しく思います。
本日卒業を迎える皆さんは、本学にご入学以来、所属された学部学科、あるいは研究科において努力をされた成果として「学位」を取得されました。長い道のりだったかもしれません。しかし、皆さんの今後の人生を支える確固たる基盤となることと確信しています。
さて、皆さんが本学に入学されてから、世界を巻き込む想定外の出来事が起こりました。外部環境の変化は皆さん一人一人の人生の歩み方に大きな影響を及ぼします。その中のいくつかを振り返ってみましょう。
第一にあげられるのが、2020年1月、中国武漢に端を発した新型コロナウィルス感染症です。学部卒業生のみなさんは、4年間のうち足掛け3年間、大学院生のみなさんは、終始"ウィズコロナ"の中での大学院生活だったかもしれません。WHO(世界保健機関)によれば、全世界における新型コロナウィルス感染症による死者数はこれまでのところ687万人と記録され、世界の平均寿命に大打撃を与えたと報告されています。2019年から2021年にかけて、平均寿命が毎年2歳以上、(2年合わせて4歳)短くなったと推測されるそうです。
コロナ禍の3年半が人類の平均寿命にまで影響を与えた一方で、世界は一気にデジタル化が進展し、学び方、働き方、ひいては生き方まで根本的に価値観の変容が起こりました。
次にあげられるのが、昨年2月24日のロシアによるウクライナへの軍事侵攻です。"戦争の世紀"と呼ばれた20世紀が終わり、21世紀の今もなお、武力紛争の数は50を超えるといわれています。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によれば、ロシアによる軍事侵攻で亡くなった兵士や戦闘員の死者数は合わせて20万人に上るとみられています。暴力や武力による命の奪い合いは根絶しなければなりません。
最後に、注目してもらいたいのは世界の人口です。毎年7月11日は国連の定めた「世界人口デー」ですが、昨年、11月15日、80億人に達しました。学部卒業の皆さんが入学された4年前の2019年、世界の人口は約76億人でしたので、1年で約1億人増えたということになります。国連経済社会局(UNDESA)人口部の『世界人口推計』によると、この先、2050年には97億人、2080年代、皆さんが生きている間に、約104億人でピークに達し、しばらくそのレベルに留まると予測されました。その間、日本を含めた61の国や地域では人口が減少傾向にあり、人口の半数以上は8カ国に集中すると分析されています。その8カ国とは、インド、エジプト、パキスタン、フィリピン、そしてアフリカの4カ国(エチオピア、コンゴ共和国、タンザニア、ナイジェリア)です。そして今年2023年には、インドが中国を抜いて世界で最も人口が多い国になると予測されています。
日本については、今年の出生数は80万人を割る減少となり、現在の少子化は危機的状況です。私の専門のマネジメントでは、人の数は組織の在り方、方向性に大きく影響すると考えます。皆さんが大学時代に専門とされた学問が何であろうとも、こうした世界を巻き込む外部環境の変化に対して共に乗り越えていかなければなりません。
いまから2年前、私が学長に就任して以来、「デジタル化の推進」と「ダイバーシティの尊重」に注力してきました。コロナ禍においても、ウクライナの戦場においても、インターネットを通したメディア技術の革新が人々を救ったという事実がありました。想定外に起こる国家を超えた環境の変化に対して、皆さんは地球市民の一人として、世界の人々と共に解決に向けて力を合わせて欲しいと願っています。
こうして世の中はますます変化の激しい時代を迎えます。幸い、本学を卒業される皆さんは、こうした「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状況を示すVUCAの時代を力強く生きる「"智慧と慈悲"の精神」をもち、「しなやかな、意思。」を身に付けています。誇りをもって大海に乗り出してください。本学で学んだ様々な知識と知見を社会の現場で日々実践して欲しいと思います。
最後になりますが、今年は年明け早々から、駒澤大学として、大変おめでたい幕開けとなりました。駒澤大学陸上競技部が、本学初の大学三大駅伝三冠達成を果たしました。先日は二子玉川ライズで三冠達成報告会を開いたばかりです。また、一昨日のWBCで、日本はなんと強豪アメリカに勝ち、優勝を勝ち取りました。一昨日の決勝戦では、大学時代コマザワのユニフォームを着て活躍された選手が3人いらっしゃいました。今永昇太投手、伊藤大海投手、白井一幸ヘッドコーチです。スポーツでは駅伝や野球だけでなく、本学の卒業生の活躍は挙げれば尽きません。また、スポーツだけでなく、卒業生のみなさんが4月1日から仕事をはじめる様々なビジネスの世界においても、本学の卒業生の活躍は素晴らしいものがあります。今年の卒業式より、新しい企画として、学長の式辞、総長の祝辞のあとに、同窓生からの祝辞を頂戴することになりました。本日、お越しくださいました同窓生の黒岩正勝様は現在、ニッコンホールディングス株式会社、代表取締役社長を務められ、今年1月に設立されました駒澤大学同窓会経済人会の初代会長です。
みなさんの先輩です。この後のお話を楽しみにしていてください。
改めまして、お祝い申し上げます。
ご卒業おめでとうございました。
各界で活躍される皆さんの姿に思いを馳せつつ、私の祝辞といたします。
令和5年3月23日
駒澤大学学長
各務 洋子
3月24日
学部卒業生の皆様、大学院修了生の皆様。
御卒業、そして、ご修了、おめでとうございます。
この日を心待ちにされ、長い間、物心両面でご支援くださいました御親族の皆様に対し、改めまして心よりお祝い申し上げます。昨年に引き続き、こうして対面での卒業式が挙行できましたこと、大変嬉しく思います。
本日卒業を迎える皆さんは、本学にご入学以来、所属された学部学科、あるいは研究科において努力をされた成果として「学位」を取得されました。長い道のりだったかもしれません。しかし、皆さんの今後の人生を支える確固たる基盤となることと確信しています。
さて、皆さんが本学に入学されてから、世界を巻き込む想定外の出来事が起こりました。外部環境の変化は皆さん一人一人の人生の歩み方に大きな影響を及ぼします。その中のいくつかを振り返ってみましょう。
第一にあげられるのが、2020年1月、中国武漢に端を発した新型コロナウィルス感染症です。学部卒業生のみなさんは、4年間のうち足掛け3年間、大学院生のみなさんは、終始"ウィズコロナ"の中での大学院生活だったかもしれません。WHO(世界保健機関)によれば、全世界における新型コロナウィルス感染症による死者数はこれまでのところ687万人と記録され、世界の平均寿命に大打撃を与えたと報告されています。2019年から2021年にかけて、平均寿命が毎年2歳以上、(2年合わせて4歳)短くなったと推測されるそうです。
コロナ禍の3年半が人類の平均寿命にまで影響を与えた一方で、世界は一気にデジタル化が進展し、学び方、働き方、ひいては生き方まで根本的に価値観の変容が起こりました。
次にあげられるのが、昨年2月24日のロシアによるウクライナへの軍事侵攻です。"戦争の世紀"と呼ばれた20世紀が終わり、21世紀の今もなお、武力紛争の数は50を超えるといわれています。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)によれば、ロシアによる軍事侵攻で亡くなった兵士や戦闘員の死者数は合わせて20万人に上るとみられています。暴力や武力による命の奪い合いは根絶しなければなりません。
最後に、注目してもらいたいのは世界の人口です。毎年7月11日は国連の定めた「世界人口デー」ですが、昨年、11月15日、80億人に達しました。学部卒業の皆さんが入学された4年前の2019年、世界の人口は約76億人でしたので、1年で約1億人増えたということになります。国連経済社会局(UNDESA)人口部の『世界人口推計』によると、この先、2050年には97億人、2080年代、皆さんが生きている間に、約104億人でピークに達し、しばらくそのレベルに留まると予測されました。その間、日本を含めた61の国や地域では人口が減少傾向にあり、人口の半数以上は8カ国に集中すると分析されています。その8カ国とは、インド、エジプト、パキスタン、フィリピン、そしてアフリカの4カ国(エチオピア、コンゴ共和国、タンザニア、ナイジェリア)です。そして今年2023年には、インドが中国を抜いて世界で最も人口が多い国になると予測されています。
日本については、今年の出生数は80万人を割る減少となり、現在の少子化は危機的状況です。私の専門のマネジメントでは、人の数は組織の在り方、方向性に大きく影響すると考えます。皆さんが大学時代に専門とされた学問が何であろうとも、こうした世界を巻き込む外部環境の変化に対して共に乗り越えていかなければなりません。
いまから2年前、私が学長に就任して以来、「デジタル化の推進」と「ダイバーシティの尊重」に注力してきました。コロナ禍においても、ウクライナの戦場においても、インターネットを通したメディア技術の革新が人々を救ったという事実がありました。想定外に起こる国家を超えた環境の変化に対して、皆さんは地球市民の一人として、世界の人々と共に解決に向けて力を合わせて欲しいと願っています。
こうして世の中はますます変化の激しい時代を迎えます。幸い、本学を卒業される皆さんは、こうした「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状況を示すVUCAの時代を力強く生きる「"智慧と慈悲"の精神」をもち、「しなやかな、意思。」を身に付けています。誇りをもって大海に乗り出してください。本学で学んだ様々な知識と知見を社会の現場で日々実践して欲しいと思います。
最後になりますが、今年は年明け早々から、駒澤大学として、大変おめでたい幕開けとなりました。駒澤大学陸上競技部が、本学初の大学三大駅伝三冠達成を果たしました。先日は二子玉川ライズで三冠達成報告会を開いたばかりです。また、一昨日のWBCで、日本はなんと強豪アメリカに勝ち、優勝を勝ち取りました。一昨日の決勝戦では、大学時代コマザワのユニフォームを着て活躍された選手が3人いらっしゃいました。今永昇太投手、伊藤大海投手、白井一幸ヘッドコーチです。スポーツでは駅伝や野球だけでなく、本学の卒業生の活躍は挙げれば尽きません。また、スポーツだけでなく、卒業生のみなさんが4月1日から仕事をはじめる様々なビジネスの世界においても、本学の卒業生の活躍は素晴らしいものがあります。今年の卒業式より、新しい企画として、学長の式辞、総長の祝辞のあとに、同窓生からの祝辞を頂戴することになりました。本日、お越しくださいました同窓生の川口勝様は現在、株式会社バンダイナムコホールディングス、代表取締役社長を務められ、今年1月に設立されました駒澤大学同窓会経済人会の初代副会長です。
みなさんの先輩です。この後のお話を楽しみにしていてください。
改めまして、お祝い申し上げます。
ご卒業おめでとうございました。
各界で活躍される皆さんの姿に思いを馳せつつ、私の祝辞といたします。
令和5年3月24日
駒澤大学学長
各務 洋子