学長メッセージ~駒澤大学におけるダイバーシティの推進について~

Date:2021.05.25

駒澤大学では、建学の理念のもと、より広い慈悲の心とより高い智慧を求め、常に新たな学びを続ける人材の育成に取り組んでまいりましたが、大学のもつ課題の一つに「ダイバーシティの推進」があります。

一般的に、組織におけるダイバーシティの推進では、まずはマイノリティを組織のメンバーとして多様化を進め、その「多様性」を理解、尊重することにより、誰もがその個性を活かして活躍できる環境を整備するという形で進められます。ダイバーシティの推進は、「個を活かす」だけでなく、多様な個性、視点を取り込むことで、その組織の持続的発展にも貢献することになり、2030年までに世界的に目指されているSDGs(持続可能な開発目標)の達成、共生社会の実現にもつながります。ダイバーシティは、これからのグローバル社会においては欠かすことのできない重要な視点のひとつだと考えます。

では、「多様性」にはどのようなことが含まれるのでしょうか。「目に見えやすい多様性」には、性別、人種、年齢、身体的な障がいなどがあります。しかし、多様性は目に見えにくいものもあります。「目に見えにくい多様性」には、国籍、出身地、貧困、家族構成(育児や介護の必要な家族がいる、ひとり親家族など)、精神的・発達的な障がい、性自認(自分をどの性別だと認識しているか)、性的指向(愛情がどの性に向くか)などが考えられ、実は「目に見えにくい多様性」のほうが多いにもかかわらず、見えにくいことから認識され辛いといえます。そして、ひとりの個人が複数の多様性を持ち合わせるケースもあります。

ダイバーシティへの取り組みは、これまでは企業が先導的に行ってきましたが、近年では大学でも取り組みが進められています。国公立大学のほとんどがダイバーシティ推進室を設置しており、私立大学でも、2000年以降、男女共同参画室の機能拡充という形でダイバーシティ推進室を設置したり、あるいは、関連各部署の連携に基づく形でダイバーシティ推進委員会を設置したり、といった取り組みを始めています。

駒澤大学は、来年には140周年を迎えますが、さらに原点へ遡れば、420年を超える長い歴史と伝統をもっています。その中で、私たちは弛まぬ努力や改革によって時代に応じた「大学教育のあるべき姿」を追求してまいりました。私たちには、建学の理念と教育・研究の本質を見失うことなく、時代の要請に応えてきたという自負心があります。
ダイバーシティに関しても、この4月に私が学長に就任してから、「ダイバーシティ推進担当学長補佐」を任命しており、今後は全学的なワーキンググループを設置して諸施策の検討を進める予定です。引き続き、ダイバーシティの推進、そしてSDGsの達成を目指してまいります。

駒澤大学長
各務洋子