学長 年頭挨拶
「学」に支えられた「行」の実践を
駒澤大学長 廣瀬 良弘
新春おめでとうございます。穏やかな正月を迎えられたことと存じます。本学、皆さんにとりましてよい年でありますように祈念申し上げます。
さて、昨年は、皆さまのご協力を得まして、開校130周年記念棟の建設にこぎつけることができました。そして、建物の基礎をなす「杭打ち」が始まっている中で、皆さんとともに新年を迎えられましたことを喜びたいと思います。18歳人口減少が顕著になる2018年が眼前に迫る中での建設です。広い食堂と最先端のPC教場・多目的ホール・学生が憩えるルーフテラス等が設けられ、眼下には緑豊かな駒沢公園が開ける明るい学び舎となります。メインの建物の完成は丸2年後であります。
在学生の皆さんには、ご迷惑をおかけいたしますが、安全と美化に万全を期したいと思います。その一環として、禅の大学らしさをふだんの学園生活の中で、より一層感じていただくために、図書館前・図書館碑前・大学会館前・禅研究館前に枯山水の石庭を設け、風紋(砂紋)を描き、金閣寺垣や建仁寺垣などの竹垣を施してみました。楽しんでいただき、心を休ませていただければと思います。さらに、約420年の旃檀林以来の本学の伝統とその背景にある歴史文化に思いを馳せ、興味を持っていただき、学習意欲の向上に連なれば、幸いであります。
本年度の本学の課外活動には厳しい状況も見られますが、よく頑張ってくれていると思います。注目の大学駅伝ですが、出雲では、追い抜かれて3位でしたが、全日本(伊勢路)では、早大を追い抜いての3位でしたので、箱根駅伝では大いに期待できるのではないかと思います。もっとも、この文をお読み願っているときには、結果が出ていますが。
硬式野球部は前年度、大学野球日本一に輝きましたが、本年度は2部リーグに落ちました。しかし、サッカー部は1部残留を果たしております。空手道部は伝統もあり常勝のイメージが強いのですが、今年度も活躍しております。秋季関東学生会定期リーグ戦、形男子個人で赤城魁君、形女子個人で永野瑞紀さん、団体も形で男女とも優勝を果たしております。空手は2020年の東京オリンピックでは、五輪種目になるとも言われております。期待したいと思います。
ボクシング部では、リオ五輪テスト(プレ)大会フライ級で田中亮明君が金メダルを獲得し、オリンピックでの活躍が期待されます。自転車部も活躍しています。文科大臣杯第71回全日本大学対抗選手権自転車競走大会の個人ロードレース女子の部で樫木祥子さんが優勝しました。吹奏楽部は仲間を失った悲しみを乗り越えて、5月5日、長野市仏教会のご高配により善光寺での花祭りのパレードに3年ぶりに参加し、復調ぶりを示しました。
これからの課外活動がさらなる向上を遂げ、頂点を目指し、一層の自己陶冶を図り、大きな人間力を身に付けるには、後に述べることとは、少しニュアンスが異なりますが、「学」(科学・データ学・栄養学などを含む)に支えられた「行」(練習・生活・自己管理)の実践、そしてそれが、一体となることが、ますます必要となりましょう。
課外サークルに対しましては、本学の財政状況上、必ずしも潤沢にとはいきませんが、きちんと支援して行かなければならないと思います。
昨年、開校130周年記念棟建設の着工とともに、特筆すべきことは、全学・全法人の進むべき道を俯瞰する「中期ビジョン」すなわち「施策体系」を作成することができたことです。本年は、これに基づいて作成された「中期事業計画」に肉づけを行いながら、改革を進めて行かなければなりません。
本学の建学の理念「行学一如」は道元禅師の「修証一等」(坐禅修業〈行〉と証〈悟り〉は一如、一体である)に由来します。「悟り」と一体とするという「行」を最高に重んじた姿勢です。本学で唱えられて来た「行学一如」「随処に主となる」は学生諸君の学問研究・自己陶冶の実践・目標であるだけではありません。
上記の改革を実施するには、「学」に支えられた「行」の実践、すなわち、建学の理念「行学一如」の真の実践に踏み出すことこそが、私たちオール駒澤人に求められているところです。ご協力のほどお願いいたします。頑張りましょう。