~襷~ 「誰かのために」を原動力に
【襷(たすき)】は、駒澤大学に通う皆さんが「どのような社会人生活を送りたいか」をイメージできる、キャリアセンター発の連載企画です。在学生が現在活躍する駒大OB・OGを訪問し、先輩たちのリアルな声をお届けします。
海老泰彰先輩に、文学部2年 渡邊/経営学部1年 和田が取材しました!(2025年1月取材)
学生時代の経験について
学生時代はどのような活動に力を入れていましたか?
サークルでの活動に最も多くの時間を費やしていました。ただ練習するだけでなく、新入生から4年生まで、全員が気持ちよく参加できる環境づくりを意識していました。2年生からは幹部として企画や運営にも携わり、様々な立場の人とコミュニケーションを取る機会が多くありました。
学業面では、自分の興味のある分野を深く掘り下げることができた経験が印象に残っています。文化人類学や有価証券法・会社法の分野に興味を持ち、教科書以外の参考書籍や論文を自主的に読んだり、調べものをしたりしました。高校までとは違い、自分で学びたいことを選択できる環境の中で、純粋な知的好奇心から学ぶ楽しさを実感できました。
サークル運営で学んだこと
サークルの運営を通じて得られた学びについて教えてください。
運営側になって初めて、「参加する側」から「参加してもらえる場所をつくる側」への視点の変化がありました。例えば、なぜ参加数が伸びないのか等の問題を分析し、告知が足りないのか、雰囲気が良くないのか、といった要因や課題を設定し、課題に沿った施策を考えるようになりました。また担当期間における収支計画も策定し、目標値に向け告知や活動を重ねていました。
特に力を入れたのは、誰も疎外感を感じない環境づくりです。新入生が1人で取り残されていないかを確認したり、サークルの部室に必ず誰かがいるようシフトを組んだり。一見些細なことですが、来てくれた人が「また来たい」と思える場所をつくるために、運営側メンバーで試行錯誤を重ね様々な工夫を凝らしました。
キャリアの転機と現在の仕事
広告業界でのキャリアについて教えてください。
最初は屋外広告の企業で営業職として働いていました。企業の顔となるロゴやサインをどこに、どのように配置すれば効果的かを考え、提案し、製造・施工管理する業務内容です。例えば、某ファーストフード店の都内エリアを担当していた時は、店舗ごとの立地特性や訴求ポイントを考慮しながら提案を行っていました。「あの店舗の顔(看板)は自分が手掛けたんです」と胸を張って言える、私にとってやりがいのある仕事でした。そして人事職へ職種転換しました。
その後、電通アドギアに転職し、現在も人事として働いています。広告業界で働く中で感じた魅力や課題を活かしながら、採用や社員のキャリア支援・評価制度運用に携わっています。電通アドギアは総合広告代理店として、クライアントの広告コミュニケーションの仕事を請け負っていますが、会社の特徴として、電通とサントリーのDNAを持ち、両社のノウハウや知見・リソースを活用できる強みがあります。また137名という機動力の高い組織規模を活かして、柔軟な対応も得意としています。
私たちの会社では「すべてのことにユニークを」という言葉を大切にしています。これは仕事の進め方だけでなく、働き方にも表れています。自由と責任の下で、例えば、スーパーフレックス制や私服勤務を導入し、社員一人ひとりが自分のスタイルで働ける環境を整えています。
また、社内にはサントリーのDNAならではの『Bar』や『おごり自販機』(2人で社員証を自販機にかざすと飲物が出てくる!)があり飲料を通したコミュニケーションも大切にしています。その他にも横断型のプロジェクトや様々な同好会があり、仕事上はもちろんのこと仕事以外でも個性を活かせる場が多くあります。
転職して苦労されたことはありますか?
転職後は労働時間が短くなったため、限られた時間の中で成果を出すことに苦心しました。そこで意識しているのが、自分ができる効率化の意識と省エネ化です。例えば、細かなことでも必ずメモを取るようにしています。3ヵ月後の自分は覚えていないかもしれないと考え、誰かに説明するつもりで詳しく記録を残すことを心がけています。これによって聞き返す機会もエネルギーも削減でき、自分の出来る範囲を増やし、体系的にインプットしていくことを意識しています。
また、AIやショートカットキーなど、小さなことでも業務効率を上げるツールは積極的に活用するようにしています。最初は覚えることが大変でも、使いこなせれば確実に自分の味方になってくれます。
人事職は共通でも異なる企業から入社したため、自社の営業職であるプロデューサーの業務について深く理解することにも課題を感じました。その分、社内の方々との対話を大切にし、様々な角度から情報収集を行うことで、その溝を埋めるよう努めています。
働くうえで大切にしていること
現在の仕事における価値観についてお聞かせください。
人事の仕事をしていて最もやりがいを感じるのは、関わった方の変化や成長を感じられる瞬間です。例えば、採用した方が活躍している話を聞いたり、入社当初と比べて会社への想いが深まっている様子を感じたりした時は、とても嬉しく感じます。
また、広告業界の抱える課題にも向き合っていきたいと考えています。広告業界は華やかなように見えて実は黒子の仕事です。そのため、採用業務においても業界理解や企業研究・職種研究もしづらく、せっかくの出会いがミスマッチになってしまうケースもあります。
これはアウトプットとして世の中に出しているモノの裏側や広告コミュニケーションが作られるまでの過程がイメージしづらい・複雑化している点も要因の1つだと思います。だからこそ、業界研究支援や就活生をはじめとした学生のキャリア形成支援を通じて、広告業界の魅力や実態を正しく伝えていくことも、人事としての重要な役割だと考えています。
後輩へのメッセージ
大学時代の「時間」は、とても贅沢で特権的な資源です。すぐに結果が出なさそうなことでも、興味があることには積極的にチャレンジしてほしいと思います。
また、就職活動において大切なのは、「知っている」を増やし、比較検討し、自分で判断することです。ネットの情報や誰かがまとめた情報だけでなく、自分の目で見て、自分の言葉で考えることで、本当の意味で自分に合う選択ができると思います。当たり前かもしれないですが、自分の知っているものの中からしか自分のやりたいことはイメージできないからです。
そして在学中に、「自分はどんな時にやりがいを感じるのか」を知ることをお勧めします。アルバイトなどの経験を通じて、数字での評価なのか、人からの感謝の言葉なのか、自分のモチベーションの源泉を理解しておくことは、将来の選択肢を考える上で大きな助けになるはずです。
おわりに ~インタビュアーの感想~
海老先輩の魅力は高い「献身性」と「共感性」。
転職されて2年経っていないとのことでしたが、既に社内全ての方と対話をされたということで、積極的な声掛けをはじめとした他者への興味関心の強さに圧倒されました。
取材を終えて、学生は自由に使える時間が多いため、興味のあることや気になることにも「味見」をするぐらいの気持ちで一歩踏み入れることが大切であると気づくことができました。インターネット等から得られる情報よりも、体験を通して初めて知る情報の価値や、その過程での出会いや経験は一生ものであると、今後の行動選択を改めて考えさせてもらえる機会となりました。
社内のBarでご対応いただきました。Barを囲うように執務室や会議室があり、コミュニケーションを重んじていることが伝わってくる様な社屋でした!
[著]・[聞] 文学部社会学科2年_渡邊夏美 / 経営学部経営学科1年_和田ひかり
[写] キャリアセンター_山口魁紀
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本記事関連リンク
株式会社電通アドギア
駒澤大学法学部法律学科
襷~先輩の足跡~