開校140周年・図書館落慶記念式典 理事長式辞
本日、ここに駒澤大学開校140周年図書館落慶の記念式典を挙行するにあたり、大本山總持寺 石附周行 紫雲臺猊下のご臨席を仰ぎ、大本山永平寺より 中條 道昭 後堂老師、鬼生田 俊英 曹洞宗宗務総長をはじめ、石橋 晋哉 曹洞宗参議並びに内局のご尊宿、保坂 展人 世田谷区長をはじめ地域関係の各位、さらに関係学校の理事長並びに学長の皆さま、本学のために物心ともに喜捨をいただきましたご高徳の皆さまに、ご多忙の所にも関わらず、ご列席を賜りましたこと、学校法人駒澤大学を代表し、心より厚く御礼を申し上げます。
駒澤大学が本日、開校140周年の記念日と共に、叡智の結集拠点となる新図書館の落慶を迎えることができました。
これも偏に、本日ご列席の皆々様をはじめ、多くの方々の本学に対するご法愛の賜物と存じ上げます。
改めまして、重ねて深く感謝申し上げます。
駒澤大学の歴史は、様々なところでご高覧いただいており、今更申し上げるまでもありませんが、その歩みを学林にまで遡ると、実に430年という、他に類を見ない歴史がございます。時代とともに歩んできた歴史の重みは、私たちの誇りでもあります。
あまたの先人たちは、伝統を引き継ぎながらも、時の変化に応じて革新を重ねることで、本学の学風を継承してこられました。
曹洞禅の参究と漢学の振興を目指した時代から、先取りの感性を研ぎ澄まし、広く社会にも門戸を開き、紆余曲折しながらも現在に至る、本学の姿に思いを廻らせたとき、仏祖正伝の仏法が滴々相承し、今日の我々に連綿と注がれてきたように、不退転の覚悟と張りつめる緊張を感じずにはいられません。
一方、昨今の社会情勢に目を向けますと、 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、社会全体が深い混迷のただ中にあります。
さらに、世界各地の国際紛争や内戦、格差やいじめ、尊い命が奪われる事件、頻発する自然災害や地球環境の変動などは、人類はもとより地球全体にも及ぶ生命生存の危惧すら感じずにはいられません。
立ちはだかる様々な課題や問題の根底には、個々の人間のあり様が土台となり横たわっております。
駒澤大学の歴史の中で一貫する仏教、特に、禅の精神による人材育成は、これからも我々の使命であることは 論を俟ちません。
仏教の教義にある「縁起」は、相互依存の関係が世界をつくっている理であります。
この理を体得する「智慧」と、その智慧に基づき、他者を慈しむ心を持って行動する「慈悲」を、道元禅師の「修証一等」になぞらえ、「行学一如」と表現して参りました 本学の教育理念が、あらためて内外から強く求められていることを、強く感じております。
曹洞宗管長 石附 周行 紫雲臺猊下には、告諭のお言葉におかれまして、『四摂法の「同事」を実践の柱として、分かち合い、支え合い、思いを重ね合って、人と人との繋がりを深めてまいりましょう。』とお示しになっておられます。
これは、駒澤大学のブランドスローガンにも掲げている「こころ」、「まなび」、「つながり」を提供する本学の提供価値にもつながると思っております。
駒澤大学は、本日を節目として、さらに10年後は、開校150周年という大きな節目を迎えます。
移り行く時代と、そこに生きるあらゆる命と向き合いながら、知的好奇心を絶やすことなく日々弛まず奮起する学生を鼓舞し、駒澤大学が何を求められ、何を提供できるのか、そして何よりも、大学そのもののあり様が、この新図書館をはじめとする駒沢キャンパス、さらには、スポーツの拠点である玉川キャンパス、社会連携の拠点となる深沢キャンパスがその特徴を生かし、相互に有機的に連携しながら、皆様の目に見える形で、社会に貢献し続ける姿をお示しできるよう、教職員ともども、一同決意を新たにして邁進してまいります。
駒澤大学にご縁をいただいております皆々様におかれましては、引き続き、これまで以上にご法愛とご支援を賜りますよう、切にお願い申し上げまして、式辞とさせていただきます。
令和4年10月12日
学校法人駒澤大学理事長
山本 健善