令和4年度 9月学位記授与式(卒業式)学長式辞
本日ここに令和4年度駒澤大学「9月学位記授与式」にあたり、一言祝辞を申しあげます。
晴れて卒業される皆さん、ご卒業、ご修了おめでとうございます。この日を心待ちにされ、長い間、物心両面でご支援くださったご親族の皆様に対し、改めまして心からのお祝いを申し上げます。
本日卒業を迎える皆さんは、本学にご入学以来、所属された学部学科、あるいは研究科において努力をされた成果として「学位」を取得されました。長い道のりだったかもしれません。しかし、皆さんの今後の人生を支える基盤となることと確信しています。
さて、皆さんが本学に入学されてから、世界を巻き込む想定外の事態がいくつかおこりました。外部環境の変化は皆さん一人一人の人生の歩み方に大きく影響を及ぼします。その中のいくつかを振り返ってみましょう。
まず、第一にあげられるのが、2019年12月、中国武漢で報告された新型コロナウィルス感染症です。発生から3か月後の2020年3月11日、WHO(世界保健機関)によりパンデミックと宣言され、世界を震撼させました。その後、今週に入り、WHOのテドロス事務局長は、パンデミック宣言以降、死者数が最低となり、終焉が視野に入っていると言明しましたが、いずれにしてもこの2年半、皆さんは、学生生活の半分近く、 "withコロナ"の学生生活を送ることになりました。 これを機に、世界は一気にデジタル化が進展し、学び方、働き方、ひいては生き方まで根本的に価値観の変容が起こりつつあります。
次に、今年2月24日のロシアによるウクライナへの軍事侵攻もその1つです。"戦争の世紀"と呼ばれたのは20世紀でしたが、21世紀の今もなお、武力紛争の数は50を超えるといわれています。暴力や武力による命の奪い合いは根絶しなければなりません。
最後に、注目してもらいたいのは世界の人口です。毎年7月11日は国連の定めた「世界人口デー」ですが、今年は、地球に80億人目の住人が誕生すると見込まれる節目の年を迎えました。国連経済社会局人口部の『世界人口推計2022年版』によると、今年11月15日には80億人に達するとのことです。この先、2050年には97億人、2080年代、皆さんが生きている間に、約104億人でピークに達し、しばらくそのレベルに留まると予測されました。その間、日本を含めた61の国や地域では人口が減少傾向にあり、人口の半数以上は8カ国に集中すると分析されています。その8カ国とは、インド、エジプト、パキスタン、フィリピン、そしてアフリカの4カ国(エチオピア、コンゴ共和国、タンザニア、ナイジェリア)です。
パンデミックや戦争、人口爆発と、想定外の深刻な問題はますます地球環境を悪化させる原因になります。
皆さんが大学時代に専門とされた学問が何であろうとも、こうした世界を巻き込む地球環境の変化に対して共に乗り越えていかなければなりません。
昨年4月、私が学長に就任して以来、「デジタル化の推進」と「ダイバーシティの尊重」に注力してきました。コロナ禍においても、ウクライナの戦場においても、インターネットを通したメディア技術の革新が人々を救ったという事実がありました。想定外に起こる国家を超えた環境の変化に対して、皆さんは地球市民の一人として、世界の人々と共に解決に向けて力を合わせて欲しいと願っています。
幸い、本学を卒業される皆さんは、こうした「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状況を示すVUCAの時代を力強く生きる「"智慧と慈悲"の精神」をもち、「しなやかな、意思。」を身に付けています。誇りをもって大海に乗り出してください。本学で学んだ様々な知識と知見を社会の現場で日々実践して欲しいと思います。
改めまして、お祝い申し上げます。
ご卒業おめでとうございました。
各界で活躍される皆さんの姿に思いを馳せつつ、私の祝辞といたします。
令和4年9月17日
駒澤大学学長
各務 洋子