学長メッセージ―新型コロナウイルス感染症蔓延下における大学教育の模索と進路―
在校生・保証人の皆様へ
駒澤大学長 長谷部 八朗
この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大等により多大な影響を被っている在校生・保証人の皆様、また、今年7月の記録的集中豪雨により被災された皆様方に、衷心よりお見舞いを申し上げます。
昨年末にはじまる新型コロナウイルス感染症の猛威は未だに衰えるどころか、拡大する傾向にあります。第2波、第3波とおぼしき状況すら見受けられます。このような状況に鑑み、在校生・保証人の皆様には、感染防止策の更なる徹底をお願いし、ご自愛をお祈り申し上げます。
このような状況を踏まえ、駒澤大学では、前期において、学生の皆さんの安全が第一であるという方針のもと、「三密」回避のためにオンラインを基本とした授業を展開し、大学構内への入構等についても制限を行い、課外団体(サークル)等の活動自粛および関連合宿所等も閉鎖して参りました。
その一方で、授業日数を確保するため、通常行われる前期の定期試験は中止とし、補講等を実施する期間にあてました。その結果、夏季休業期間は8月8日から始まることとなりました。夏季休業期間中の旅行や帰省を待ち望まれていたであろう在校生、保護者の皆様には、新型コロナウイルス感染防止の観点から、国内移動について慎重にご検討いただきたく存じます。
また、夏季休業期間中も、感染拡大防止のために大学への入構は原則として制限し、夏季集中授業もオンラインで行い、ゼミ活動も宿泊は不可とし、また行動範囲も制限するなどさまざまな条件のもとで、安全に実施されるよう指導しております。
「ウィズ・コロナ」「アフター・コロナ」の社会を想定しますと、後期も引き続き行われることになるオンラインによる授業は、新しい大学のあり方を模索する上で大きな手立てとなる可能性を秘めているように感じています。この点につき、前期授業を終えた今、専任教員・非常勤教員、それを支えてくれている職員、そして、オンライン授業を前向きにあるいは忍耐強く受講していただいた学生の皆さんに対して、アンケート調査を行い、さまざまな観点から多くのご意見をいただいております。
これらのご意見を参考にFD活動などを通じて、改善すべき点は改善し、良い効果を発揮している点については、さらに進展できるようにしたいと思います。未曾有のコロナ禍の真っ只中、関係各位にはさまざまなご不便ご負担をお掛けいたしましたところ、大学としての責任を共に果たすため望外のご協力を賜りました。満腔の謝意を表したいと存じます。そして、これからの時代、新型コロナ蔓延に係る体験、思索――自粛するための精神力、困難に立ち向かう勇気、自分の生活を新たに創造する英知、情報リテラシーの必要性など――は、試行錯誤の連続であったにせよ、今後の社会に生きる私たちにとって大きな意味を持ってくると確信しています。
奇しくも昨年度打ち出した本学のスローガンは「しなやかな、意思」です。ストレスに打ち克ち、「柔軟な心」を保持して、品位ある生活を構築できる仏教と禅の「こころ」を、身につけ共に実践していきましょう。
とはいえ、今年度は、「三密」を避けるため、例年と同じように新入生並びに在校生の皆さんと直接お会いして、対面での授業等を行い、充実した学生生活へと導く支援や環境作りを積極的に行うことができないこと、学長として、大変遺憾に思っております。同時に、オンラインを利用しての授業が行われている現在、在校生の皆さんの学修の進捗状況をはじめ、生活一般にとどまらず、目的達成努力の継続、ポジティブな精神力育成、交友や社会活動からの学び等についても、常に案じております。
以前の学長メッセージでもお伝えしましたが、厳しい大学財政状況のなかから、学生の皆さんそれぞれに5万円(大学全体では7億円以上)を、緊急学生支援金として給付させていただきました。しかし、経済的な困難に当面する方々にとっては、決して十分とはいえないと思います。そのような方々には、国等の授業料減免・奨学金給付・コロナ関係給付金のみならず、本学の奨学金制度もご利用いただければと思っています。
オンライン授業(リモート授業)を行うことができた一方で、大学への入構がかなわず、大学施設が利用できなかったことから、施設設備費等の返金・減額を求める声も仄聞しておりますが、大学の施設設備への投資は、長年にわたり多くの学生、保護者の皆様からお納めいただいた施設設備費によって賄われ、長期的視野に立って施設設備の改善のために使用されています。このように、施設整備は、大学の今後を見据えて行われる側面をも有しており、また入構制限は、今年度の新型コロナウイルス感染に係る緊急事態への対応として、学生の保護を最優先し、やむをえず取った対応であると考えています。以上の点を何卒ご賢察いただき、今後とも皆さまのご理解とご協力を賜りたくお願いする次第です。
また、夏季休業期間の入構制限、後期からの入構ルール、学内での衛生管理、図書館・教務部・キャリアセンターなど大学内施設の利用、学内外のゼミ活動等の課外活動等についても、全学の英知をあつめて本学危機管理委員会で、十分検討いたしました。学生の安全が第一であるという観点から、諸ルールを決定させていただいています。詳細は、ホームページでご覧ください。
新型コロナウイルス感染症は、未だに収束の兆しが見えない状況にあります。すでに在校生の皆さんにはお知らせしておりますとおり、駒澤大学では、さまざまな観点からの検討を踏まえた総合的な判断に基づき、9月16日からの後期授業についても、原則オンラインで実施することといたしました。ただし、一部の少人数科目については、オンライン授業と同時に、徹底した感染防止対策を講じた上での対面授業も併せ実施し、学生自身が受講形式を選べるようにいたします。
したがって、前期に引き続き、後期もすべての科目をオンラインで受講することも可能です。また、一部の科目については、大学において対面の授業を受講することも可能となります。既に、KONECOにて授業での利用ツールや対面授業を実施する可能性のある科目の詳細をお知らせしております。授業実施方法の詳細については、科目担当教員より連絡があります。必ずご確認いただき、後期の授業に向けて準備をすすめてください。
皆さんが、新型コロナ感染防止に努めながら、日々の目標を設定しそれを着実に実施し、意義ある夏季休業期間を過ごされますことを心より願っております。