平成30年度 9月学位記授与式(卒業式)学長式辞
このたびはご卒業誠におめでとうございます。今年の夏は、前例のないような暑さ、多くの被災者を出した記録的な集中豪雨など、異常な天候に見舞われました。皆さんにおかれましては、健康を害することなく、また被災されることはなかったでしょうか。
さて、被災地に大きな爪あとを残した夏も終わりを告げ、秋彼岸の中日を明日に控えた本日、晴れて卒業式に臨まれた皆さんは今、学園生活を振り返り、さまざまな感慨に浸っておられることと思います。それぞれがそれぞれの立場で、ときには辛さを、ときには喜びを感受しながら、今日という日を迎えられたことでしょう。なかでも、最高学府である大学で学問を修めることの大変さは、皆さんが、等し並みに実感したであろうと推察します。授業の方法は指導者によって一様でないものの、扱う学問はいずれも、大きな広がりと奥深さを具えており、容易に理解し難いもどかしさを経験されたと思います。そうした経験を糧に努力を重ねた結果、皆さんは、本日の卒業式を迎えることができたのです。それは、本学のカリキュラム・ポリシーに則った所定の教育課程を修め、高度な学問的「知識」と、その学んだ知識を現実社会に応用する上で求められる「見識」を磨いたことの証しに他なりません。
駒澤大學は、本学各学部が拠り所とするディプロマ・ポリシーに従い、皆さんが学位を取得されたことを、ここに保証いたします。皆さんは、学位授与が保証する学修評価に鑑み、どうぞ胸を張って、次なるステップへと歩み出してください。
ところで私は、学長に就任以来、仏教の教えと禅の精神という建学の理念に裏打ちされた「柔軟心」を身に付けることの大切さを、さまざまな機会を捉えて説いてきました。ここでいう建学の理念に裏打ちされた「柔軟心」とは、「智慧」と「慈悲」が一体となった心の在り方を指します。蓄えた知識を、当面する状況に適合させるべく応用し、以て、他者や社会に貢献する姿勢、心構えといえましょう。
在籍中に学んだ知識や磨いた見識を肥やしに、卒業後に待ち受けるそれぞれの活動分野で、柔軟な心、しなやかな物の見方・考え方を胸に刻みつつ、お一人お一人が、自身の進まれる分野で、駒澤色を発揮されることを期待します。
これから社会に巣立つ卒業生の皆さんに、本学が、しっかりと生きるための知識・スキル・思考力・判断力・表現力等々を教授できたことを嬉しく思うとともに、皆さんが幸せな人生を築くための「心」について、それも、駒澤大学の伝統を反映した「柔軟心」についてお伝えすることができましたことは、私の喜びでもあります。
最後に、卒業生の皆さんをここまで支えてこられた保護者等の関係各位、有為な人材育成のために授業・課外授業等で全力を注がれだ教職員の皆さまの労を多とするとともに、卒業生の皆さんのご健康とご活躍をお祈りして、私の式辞とさせていただきます。
平成30年9月22日
駒澤大学学長
長谷部 八朗