食品業界の過去と未来 ―現代マネジメントⅠ―
駒澤大学経営学部には、ビジネスの現場で活躍される方から業界と働き方を直接学ぶ「現代マネジメントⅠ」が開講されています。
2025年5月20日も経営支援NPOクラブの支援を受け、前回に引き続き杉田 一志 氏と、エスビー食品で活躍された滝口 義明 氏をお招きしました。
注:滝口氏の資料にそって「エスビー食品」と表記しております。
前半の講義では、杉田氏が経営理論の視点から、変化する環境下での「ダイナミック・ケイパビリティ」について解説しました。企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する現代においては、その変化に柔軟に対応し、継続的に適応する力がますます重要になっています。
後半は滝口氏による消費者ニーズの変化の激しい食品業界での商品企画の講義でした。エスビー食品のヒット商品となったスパゲティソース「生風味 たらこ」や、レトルトカレーの「カレー曜日」も滝口氏の手によるものです。
講義の中で滝口氏は、ヒット商品の作り方を語ってくれました。「"直感"は常に正しい。"判断"を間違えるだけです」と語るように、良いアイディアであっても、計画を進める中で方向性がずれてしまうことがあるそうです。そんなときは、計画を「引っ込める」勇気も大切だと説きました。
講義の終盤には学生から多数の質問が寄せられました。「アイディアが実際に商品化される割合は?」という質問には、「千に一つくらいの確率です。良いアイディアがあっても、ブランドや生産ラインなどの観点からも検討する必要があります」と回答。また、「海外進出時に自社商品やブランドを浸透させるためのポイントは?」という問いには、「食品は文化や法律の違いで難航することが多いです。カレーを受け入れにくい国もありますし、輸入制限がかかる場合もあります」と、リアルな経験に基づいた回答をいただきました。
「食品業界における商品開発の裏側にある戦略や工夫を知ることができ興味深かった」「海外との文化の違いを理解しながらも商品をアピールし購買させることの難しさには気づかなかった」といった感想がありました。
企画現場や商品開発のリアルな舞台裏に触れることができ、非常に貴重な学びの時間となりました。どうもありがとうございました。
(H.K.)