アグリテックで未来を耕す ―EYストラテジー・アンド・コンサルティング平田氏が講義―
農業分野において情報技術を駆使するビジネス「アグリテック」に注目が集まっています。5月23日のベンチャー企業論Aでは、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社シニアコンサルタントの平田 祐貴 氏をお招きし「アグリテックで未来を耕す」のタイトルで講義いただきました。
近年、農業分野で活躍するベンチャー企業が注目を集めています。これまで農業分野は情報化が遅れているとされてきましたが、情報技術を活用するベンチャー企業の参入が相次いでいます。実際、アグリテック分野へのベンチャーキャピタル投資額の成長率は、他分野の約2倍。農業生産額も増加傾向にあるほか、世界的な需要も拡大しています。
このようなアグリテックの成長の鍵を握るのは、「アイディアの壁」「合意形成の壁」「モデル化の壁」をいかに乗り越えるかです。農業の現場では、本人が理解しているつもりでも実情とは異なることが多く、アイディア自体が障壁となるケースがあります。また、保守的な風土の影響で、新しい技術の導入を提案しても合意形成が難しいことも少なくありません。自社のビジネスを軌道に乗せ、持続可能なモデルへと昇華させるには、事業成長の各フェーズにおいて目標や手法の違いを明確に示す必要があります。
学生からは多くの質問が寄せられました。たとえば「アグリテック業界で今後注目すべき技術や領域はありますか?」という質問には、「ロボットやドローンも注目されているが、情報技術によって流通の仕組みを刷新する動きが特に重要だ」と回答。また「海外で展開されている植物工場についてどう思われますか?」という質問には、「日本と同様の生産が可能という点で魅力があるが、人件費が安い国では植物工場のメリットが薄れる」と述べました。
講義の最後には、平田氏から「学生のうちにぜひ起業してください。小規模でも始められますし、必ず良い経験になります」という力強いメッセージが送られました。
学生からは、「農業ならではの構造的な課題や地域に根差した文化を学べた」「現場の理解に基づいた、高い解像度での課題設定の重要性を実感した」といった感想が寄せられ、実りの多い講義となりました。
どうもありがとうございました。
(H.K.)