"エアライン業界"と主な仕事について ―現代マネジメントⅠ―
駒澤大学経営学部では、ビジネスの最前線で活躍されている方々を講師としてお迎えし、業界の動向や働き方を直接学ぶ授業「現代マネジメントⅠ」を開講しています。
2025年度の最終回となる7月15日の講義では、エアライン業界で活躍されているANAホールディングス株式会社グループ経営戦略室エアライン事業部担当部長 小池 定範 氏をお招きし、「"エアライン業界"と主な仕事について」ご講演いただきました。
世界的に見て、エアライン業界は経済成長に伴うグローバル化と人口増加の影響を受けて成長を続けています。特にアジアと北米間の流動は著しい成長を見せており、日本にとっては地理的特性を活かした「中継拠点」としての戦略が今後ますます重要になるといいます。
一方で、エアライン業界はリスクイベントの影響を大きく受けやすい産業でもあります。講義では、新型コロナウイルス感染症による影響にも触れ、「会社が存続できるのか不安だった」と小池氏は当時を振り返りました。また、国内線においても、人口減少、移動手段の多様化、需要構造の変化、さらには脱炭素社会への流れなど、多くの課題に直面している現状が語られました。
このような状況の中、ANAグループでは「ワクワクで満たされる世界を」という理念のもと、エアライン事業の利益最大化、航空非連動型の収益事業拡大、持続的成長に向けた"ANA経済圏"の拡大という3本柱を掲げた中期経営戦略を進めているとのことです。
エアラインと聞いてまず思い浮かべるのは、パイロットやキャビンアテンダントかもしれませんが、実際には非常に多岐にわたる職種が存在します。航空券予約の段階では、宣伝・広告・セールス・アプリ開発・コールセンター業務などが関わります。空港では、空港サービス、保安検査、グランドハンドリング、整備があります。そして搭乗後にもご意見・ご要望対応、さらに経理など、実に多くの人々がエアライン業務を支えています。
講義では、航空事業のみならず、関連する多様な事業や職種についても、非常にわかりやすく解説されました。
質疑応答では、受講者からさまざまな質問が寄せられました。
「1日の具体的な仕事の流れを教えてください」という質問には、「本社勤務と空港勤務では大きく異なります。フレックスタイムなので8時から9時までに出社し、残業したとしても19時20時。昼間は会議が多いです。ですが空港勤務に割り当てられた場合はシフト勤務になります。飛行機の運航時間に合わせて常に人がいますので、朝5時から仕事があるときには始発の電車がないのでタクシーで移動することもあります。夜勤もあります」との回答がありました。
また、「これまでで一番嬉しかったことは何ですか?」という質問に対しては、「羽田空港で勤務していた際に、お客様から感謝されお礼状をいただいたことが何回かありました。20年以上前のことなのにその方の顔が思い浮かぶほど心に残っています」と語られました。
受講後、学生からは次のような感想が寄せられました。「国際線戦略は、世界情勢を踏まえた予測と判断のもとでルート設計や差別化戦略を立てており、航空業界ならではの視点にとても惹かれました」、「リスクイベントや世界情勢の影響を直に受ける航空業界の厳しさを知ると同時に、それ以上にやりがいや使命感を感じました」
貴重なご講義をいただき、どうもありがとうございました。
(H.K.)