悲願の1部Aクラス入り "歴史に残るリーグ戦"
秋季・1部関東学生卓球リーグ戦が9月9日から24日にかけて港区スポーツセンター、代々木第二体育館で開催された。駒大をけん引してきた4年生の引退試合となる最終戦、埼工大を相手に4-0で勝利を収め、5勝2敗で3位入賞を果たした。駒大の3位入賞は2006年以来で、過去最高記録に並ぶ。
個人では木村飛翔(商4)が4シーズンぶりに優秀選手賞を受賞し、同時に4年間でリーグ通算21勝を挙げたことによる特別賞も受賞した。
24年度 秋季リーグ 1部成績表 | |
---|---|
優勝 | 早大(5勝2敗) |
2位 | 明大(5勝2敗) |
3位 | 駒大(5勝2敗) |
4位 | 日大(4勝3敗) |
5位 | 専大(4勝3敗) |
6位 | 法大(3勝4敗) |
7位 | 中大(2勝5敗) |
8位 | 埼工大(0勝7敗) |
※1位から3位まで5勝2敗で並んだものの、得失差で順位がつけられた。
駒大は1部Aクラス(上位4校)入りを目標に日々の練習に取り組み、ラストイヤーとなる木村飛翔・白山遼(経4)のダブルエースを筆頭に今大会に臨んだ。
リーグ戦は3勝先取のインカレと異なり4勝先取で勝利となるため、チームの総合力がより重要となる。木村・白山に加えて加藤渉(経3)や管琉乃介(経2)の台頭も顕著となるなか、岡崎将大(現1)や日髙智貴(経1)などルーキーの覚醒により、何度も格上に打ち勝つ強い駒大の姿を見せた。
閉会式で関東学生卓球連盟会長・葛西順一氏より「歴史に残るリーグ戦だった」と話があるなど、大混戦となった今大会は確実に関東学生卓球の歴史に残ることとなるだろう。今大会のハイライトとインタビューは以下の通り。
前半戦ハイライト
第1節 対日大戦 4-3
木村飛翔 3-0 辻井
日髙智貴 1-3 小林
管琉乃介 3-1 加山
木村/白山 1-3 小林/伊藤
加藤渉 0-3 伊藤
岡崎将大 3-1 加藤
白山遼 3-2王
日大はことしの全日本卓球選手権大会(天皇・皇后杯)男子ダブルスの部で優勝した小林・伊藤をはじめとする強敵揃いで、何度も優勝経験のある常勝集団だ。木村・白山のダブルエースがそれぞれシングルスで1勝をあげ、管や岡崎の勝利もあり初戦をフルゲームで制した。
第2節 対専大戦 2-4
加藤渉 0-3 溜
木村飛翔 2-3 木塚
管琉乃介 2-3 田中
木村/白山 3-1 野田/木塚
白山遼 3-2 福澤
岡崎将大 0-3 野田
専大は選手層が厚く、ルーキーの溜や木塚から2勝を挙げられた。2-3で敗北した試合が2試合あり、前回王者を相手に悔しい敗北となった。
第3節 対法大戦 4-3
日髙智貴 0-3 佐藤
白山遼 2-3 加藤
岡崎将大 3-0 内田
木村/白山 2-3 加藤/岩永
木村飛翔 3-1 岩井田
加藤渉 3-2 岩永
管琉乃介 3-2 原田
昨季から1部復帰した法大だが、復帰直後からAクラス入りするなど勢いのあるチームだ。第1、2試合で惜しくも敗れ、チームとしても厳しい状況下でもルーキー岡崎の活躍により形成を立て直した駒大。第5試合から怒涛の3連勝で"逆転の駒澤"たる勝利をもぎ取った。
第4節 対明大戦 1-4
木村飛翔 3-1 松田
岡崎将大 0-3 飯村
管琉乃介 1-3 芝
木村/白山 1-3 飯村/木方
白山遼 1-3 手塚
今回のリーグで駒大、早大とともに優勝争いを見せた明大との1戦では明大に軍配が上がっていた。敗北した試合も相手に完全に主導権を握られていたわけではないが、あと一歩のところで逃げ切られてしまった。
第5節 対中大戦 4-1
岡崎将大 3-0 髙橋
木村飛翔 3-1 青山
日髙智貴 3-0 谷本
木村/白山 0-3 小松/米倉
白山遼 3-0 前出
前半戦最終戦は中大との1戦となった。7月のインカレで惜しくも駒大の表彰台入りを拒んだ相手だが、リベンジに燃える駒大は序盤から隙を見せないプレーで勝利を続けた。全試合オーダーに入ったルーキー2人の活躍もあり、大差をつけてリベンジに成功した。
後半戦ハイライト
第6節 対早大戦 4-3
日髙智貴 1-3 濱田(一)
岡崎将大 2-3 濱田(尚)
木村飛翔 3-0 磯村
木村/白山 2-3 濱田(一)/徳田
白山遼 3-0 荒井
管琉乃介 3-2 徳田
加藤渉 3-1 櫻井
駒大にとって今大会の重要なポイントとなった早大戦。序盤から早大の濱田兄弟に2勝され、苦しい展開が続いていた。しかし駒大のダブルエースがそれぞれ1勝を取り返し、2台進行となった第6、7試合の加藤と管にすべては託された。先に勝利を決めたのは加藤。第6試合の管が大接戦を見せるなか、ベンチからの声援に応えるように得点を重ね、チーム全員で勝利を収めた。
第7節 対埼工大戦 4-0
木村飛翔 3-0 髙野
日髙智貴 3-1 金
管琉乃介 3-2 玉井
木村/白山 3-1 羽鳥/玉井
4年生にとっては最後の試合となる埼工大戦。管が強敵を相手に苦戦するもしっかり勝ち切り、ストレート勝利を収めて5勝2敗で今大会を終えた。試合後、ベンチで待っていた選手らは最後の勇姿を見せた木村・白山のダブルエースを笑顔で迎え入れ、熱いハイタッチを全員と交わした。
インタビュー
◆奥住祐太(経4)主将
――今回のリーグ戦を振り返って
「全ての試合を接戦で乗り越えたので、それがいい結果に繋がったと思う」
――1年間主将をつとめてどうだったか
「最初は1人でなんでも出来ると思っていたが、1人では何も出来なかった。部員全員に支えられてここまでやって来ることができたので、全員のおかげでこのチームができていると思っている」
――リーグ戦でやり残したことはあるか
「やり残したことはないです。みんなを信じて練習も意識高くやってきた。こちらから強要することも無く、みんな自由にやってもらうことが多い中で、大学の練習や実業団チームを使い各々レベル上げてここまでやってきたことが今のチームに繋がっているし、ここまでやってきた良かったという自信になった」
――後輩たちにメッセージ
「白山・木村が抜けても強い選手はたくさんいるため、そこは信じて託して大丈夫だと思っている。次の主将になる前川は一人で抱え込まず、チーム全員使っていいチームを作っていければいいと思う」
◆白山遼(経4)
――リーグ戦を振り返って
「春は1部入れ替え戦でギリギリだったが、みんながつないでくれた。最後5勝2敗という、出来すぎなくらい良い成績を収められてよかった」
――4年間を振り返って
「1年目はコロナでリーグ戦がないなど良いことばかりでなく、チームに貢献できない期間も多くあった。その中で自分のやり方を変えて、準備の仕方を変え、最後こうした色々な経験の中で一番良い状態で戦えたと思う」
――4年間の中で1番印象に残っている試合
「春の入れ替え戦の相良将(営4)の試合と、今回の早大戦」
――これからに期待していること
「今回出場した4年生以外にも力のある選手が多いので、今後誰が出てもおかしくないと思う。ダブルスはカットマンペアではなくなるので、チームカラーがかなり変わると思う。最初うまくいかないことがあっても耐えて欲しい」
――監督やコーチから言われていたこと
「メンタルのことを言ってくれた。情熱的に入りすぎると頭が回らなくなってしまうことを指摘された」
――4年間の中で1番苦しかったこと
「2年生の春に腰を怪我したことがあった。その時は2部で、どの試合でも勝てないという期間が続き、苦しかった」
――4年間の中で1番良かったこと
「みんなと青春できたこと。本当に楽しかった」
◆木村飛翔(商4)
――リーグ戦を振り返って
「今回のリーグ戦は特別な思いで臨んでいた。自分の大切な人が入院していて、その人に良い結果を報告するため、絶対勝ちたいという気持ちがあった。今回のリーグ戦では、初戦の日大戦から接戦続きで、「チームで勝つ」といった意識が強く感じられたリーグ戦だったと思う。特に後輩たちの成長が感じられて、全員が2勝以上したリーグ戦は初めてだったので、奥住キャプテンが築きあげてきたチーム力といった部分が最後のリーグ戦で出せたと感じた。特に管は大事な場面で勝ち星を上げたため、これからも期待したいと思う」
――敢闘賞と特別賞を受賞した感想
「試合期間、賞は全く意識しておらず、4年間頑張った結果が今回の賞に繋がったのだろうと感じた。また、優秀選手賞をいただいたのは2回目で、大学4年間でこんなにも賞をいただけると思っていなかったので、素直にとても嬉しい
――4年間を振り返って
「まず、監督には感謝しかない。1年生の全然勝てない時期からずっとオーダーに名前を書いてもらい、リーグ戦に出していただいたことで成長した部分が大きいので、この経験は大きかったと思う。また、先輩や後輩に恵まれた4年間だったと感じている。自分を信じて試合に送り出してくれて、最後その期待に応えられたので、少しでも恩返しになっていたらいいなと思っている。後輩たちも4年間諦めずいつあるかわからないチャンスをものにできるように頑張ってほしいと思う」
◆相楽将(営4)
――今日の試合を振り返って
「同期や後輩が頑張り、最後4-0で勝つことが出来て4年間頑張った集大成が見られました」
――4年生最後のリーグはどうだったか
「4年間で1番練習してきたと言えるくらい練習をしてきた。そのため好成績が出せてうれしい。インカレで5位という好成績からの関東学生リーグでも3位入賞という好成績だったので良かった」
――夏合宿を通じてどう成長したのか
「夏合宿ではみんなで筋トレをし、練習時間が多かったため1つ1つの細かい技術を徹底して行うことが出来たので良かった。チームの団結力も大きくプラスになった」
――4年間を振り返って1番思い出に残る試合
「今回のリーグ戦、早大との戦いで管が底力を見せて勝利し、早大を相手に勝ち切ることができて感動しました」
――全日学への意気込み
「はじめて奥住とダブルスの出場権を獲得したので、楽しんでダブルス迎えられたらいいなと思います!」
◆国広駿介(国4)
――リーグ戦を振り返って
「自分は主力メンバーではなく、ベンチで応援していたが、周りのみんなが頑張ってくれたため、サポートをしっかりやろうと思っていた」
――4年間の中で1番印象に残っている試合は
「今回のリーグ戦。自分が出場した試合ではないが、リーグ戦はメンバー、OBも来てくれるのでチーム一丸となって戦える。その中での5勝2敗という成績はとても良かった」
――監督やコーチから言われていたこと
「主力メンバー以外はサポートに徹することを言われていた」
――4年間の中で1番苦しかったこと
「2、3年生の時、成績が出せないことが多くそれが苦しかった。1、2年生の時は先輩が多くチームに馴染めないことも苦しかったが、3、4年生になってからはなくなった」
――4年間の中で1番良かったこと
「3、4年生の時が1番楽しかった。後輩ができ、周りが頼ってくれたりなどみんなとコミュニケーションが取れたことが良かった。私生活や部活の中で後輩が付いてきてくれたのがうれしかった」
◆松山順英(仏4)
――今日の試合を振り返って
「みんな凄かったです」
――最後のリーグ戦を見ていて思ったこと
「同期の白山、木村はチームのダブルエースとして誇らしかった。自分たちは何も出来なかったが、裏でサポートできた。みんなのおかげでこの成績を残せた」
――1番印象に残っている試合
「今回のリーグ戦が自分の中で1番印象に残っている。特に、法大・中大・早大との試合です。いつもは勝てない相手に今回勝てたことで3位という結果に繋がったと思う」
――駒大卓球部での経験を今後にどう生かすか
「長﨑監督にマナーや礼儀を教わり、入部したての頃は何もできていなかったが変わることができた。大学を卒業しても通用すると思うので、自信を持って胸を張れる社会人になりたいです!」
◆川西繭子(経4)
――今回のリーグ戦を振り返って
「みんなの良さが出た集大成になったのではないかと思う。1部Aクラス入りは毎年リーグの目標にしていたが、諦めかけていた時もあった。実現できたのは初めてなので、出た人は本当に頑張ってくれたし、サポートもやってくれた人は私としても助かりました」
――4-3で勝利することが多かったが、当時の心境は
「接戦で勝つことが多く、最後までどうなるか分からないところを決めきってくれた。本当に今後の未来は明るいなと思いました」
――4年間を振り返って1番印象深かった試合は
「木村・白山がダブルスで3位入賞した東京オープン。実業団の選手が出る大会で、メダルを手にした時は本当に感動しました」
――4年間で良かったことは
「1つ上の渡邊真愛さんと今田みゆきさんが引退してから『本当に大丈夫なのかな』と小耳に挟むことがあったが、現在に至るまでみんな頼ってくれるようになった。心配を覆すことが出来て、私としてはやりがいが大きかった」
――これから駒大卓球部に期待すること
「私の後輩はみんな心が優しい。マネージャーの後輩がみんなを支えていく時も、選手が優しいから不安はありません。これからも仲良く楽しい思い出を作って欲しいなと思います!」
◆府川未来(心4)
――4年間の中で1番印象に残っている試合は
「春の入れ替え戦。2部に落ちるか落ちないかのあの試合はとても印象的だった」
――4年間を振り返って
「1年生の最初の時は試合がなく、みんなのモチベーションがとてもなかったように感じていた。その苦しかった時期を超え、自分たちが最終学年の時に良い成績を収められたことはみんなの努力のおかげだと思った。マネージャーとして本当にいいチームだと思う」
――4年間の中で1番苦しかったことは
「選手とのコミュニケーションがとても難しかったように感じている。友達であると同時に選手、マネージャーという関係でもあるため、近すぎても遠すぎてもだめなので難しかった」
――監督やコーチから言われていたことは
「監督は見守る立場で、何かあれば指摘することはあったが、基本的には選手同士で進めていく形だったので監督が言うことは少なかった。普段のことで監督が気にかけてくれたことも多くあり、バイトなどで行けない時は『バイト頑張って』など声をかけてもらっていた」
――マネージャーの仕事の中で1番印象に残っていること
「SNSでの活動。もともとSNSが活発でなかったこともあり、OBなどから『いつも見てるよ』『本当に助かっている。ありがとう』などの声が自分たちのやりがいになっていた」
――マネージャーの仕事の中で1番やりがいのあったこと
「自分が陸上での選手経験があったこともあり、最初はトレーニングメニューも考えていた。スポーツ選手の体に興味があったため、マッサージ方法など選手が練習や試合の時にいかに動かしやすい体を作れるかといったことを考えられていたこと」
――4年間の中で1番楽しかったこと
「このリーグ戦を応援できたこと。いつもはヒヤヒヤしながら見ていたが、みんなが楽しそうにやっている姿を応援したくなる試合だったため、このリーグ戦は楽しかった」
◆長﨑隆志(43)監督
――今日のリーグ戦を振り返って
「今日の試合で言えば、最後しっかり勝たないと後味が悪くなるとみんなわかっていたので、4-0で勝ててほっとした」
――今日の試合の見どころ
「管が苦しい試合に勝ったのが今日のMVPだと思っているため、管の試合に尽きると思っている」
――リーグ戦全体を通してどうだったか
「木村・白山が中心のチームだったが、ダブルスはほとんど勝てなかったため、シングルスで4勝は難しいかと思っていた。蓋を開けてみると団体戦で勝った試合のほとんどはダブルスが負け、そこは誤算だったが、1・2年生の活躍で今季の成績はあると思っている。来季、4年生が抜けた穴の好材料ができてリーグ戦を終われたのでそこはよかったと思う」
――新体制の課題
「3年生がしっかりすれば自ずと良いチームになると思う。3年生が自分たちをどうマネジメントできるかを期待している」
――4年生の印象
「各々で違う役割があった。試合に出て勝つ、裏方として盛り上がる。松山はムードメーカーとして盛り上げる、相楽もここぞと言うところで一戦必勝の活躍を今年の春の入れ替え戦でしてくれた。各々できちんと役割を全うしてくれた」
――4年生のマネージャーの印象
「当初5人いて最終的に3人になったが、篠山・府川に関しては卓球をやった事がなかったのにやり通してくれたことに感謝している。川西はマネージャーのエースとして40勝10敗くらいの特別賞をあげても良いくらいだ」
――全日学に出場する4年生にどんな結果を残して欲しいか
「白山・木村は学生としてのカテゴリーの試合は全日学が最後になる。去年の成績で第4シードを貰っているので、昨年を上回るベスト4に入ってフィナーレして欲しい。またキャプテンの奥住がダブルスに出場する。スポーツ推薦で入ってこなかった奥住が全国大会の個人戦に出るのはひとつの勲章だと思うので、引退にはなるが奥住には最後の集大成としていい思い出にして欲しい」