陸上競技部

DATE:2022.10.13陸上競技部

出雲9年ぶりV!大学駅伝3冠へ向け好発進

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(撮影:清水呼春)

第34回出雲全日本大学選抜駅伝競走が10月10日、出雲大社から出雲ドームまでの全6区間45.1kmで行われた。

天候は曇り。強い追い風が吹く中でのレースとなった。駒大は2区で1位に躍り出ると、最終区まで一度もトップを譲らず2時間8分32秒でフィニッシュ。大会記録を大幅に更新し、新記録を打ち出した。結果は以下の通り。

総合成績
1位 駒澤大学 2:08:32 ※大会新
2位 國學院大學 2:09:24
3位 中央大学 2:09:48
4位 青山学院大学 2:10:18
5位 順天堂大学 2:10:50
6位 創価大学 2:10:52
7位 法政大学 2:11:54
8位 東京国際大学 2:11:54
個人成績
※( )は通過順位、[ ]は区間順位
1区 8.0km 花尾恭輔(商3) 22:41 (2) [2]
2区 5.8km 佐藤圭汰(経1) 15:27 (1) [1] ※区間賞・区間新
3区 8.5km 田澤廉(経4) 23:50 (1) [2]
4区 6.2km 山野力(市4) 18:09 (1) [2]
5区 6.4km 安原太陽(地3) 19:04 (1) [1] ※区間賞
6区 10.2km 鈴木芽吹(営3) 29:21 (1) [1] ※区間賞

戦評

1区

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(撮影:宮澤希々)

強い追い風の中、出雲大社をバックにスタート。吉居大和(中大)らが序盤から飛び出すが、花尾恭輔は集団の中程に位置し、落ち着いた様子でレースを展開していく。中盤、集団の先頭に出ると徐々に先頭との差を詰めていくが、そのまま2位でタスキリレー。スーパールーキー佐藤圭汰につないだ。

2区

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(撮影:三塚結衣)

2位で花尾からタスキを受けた佐藤は、これが大学駅伝デビュー戦。スタートから快調に飛ばすと1kmを過ぎた地点で先頭の中大をとらえ、そのまま抜き去る。中盤、終盤もペースを落とさず終わってみれば2位の中大に5秒差をつけ、トップでエースの田澤廉につないだ。15分27秒の区間新記録を記録し、堂々のデビューを果たした。

3区

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(撮影:坂下涼弥)

佐藤から単独トップでタスキを受け取った田澤。スーパールーキーからエースへのタスキ渡しとなった。3区はいわゆる"エース区間"。激しい順位争いが繰り広げられることが予想されたが、田澤は他を気にせず自分の力を発揮。レース後には「調子が悪かった」と吐露しながらも、区間記録まであと4秒と迫る異次元の走りをみせた。その結果、タスキを1位で守り切り、後続との差をつけて主将の山野力につないだ。

4区

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(撮影:中西真雪)

山野は今回がはじめての出雲路。新旧主将で4年生同士のタスキリレーになり、山野は満面の笑みで中継所を飛び出した。ぐずついた天気で風が吹き荒れるなか、単独走となったが抜群の安定感で力走。後方では、し烈な順位争いが繰り広げられていたが、1度もトップを譲ることなく向かい風が激しい中継所へ。区間2位の走りで優勝に貢献する活躍を見せた。

5区

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(撮影:黒岩美彩紀)

首位をキープし続けた山野からタスキを受け取った安原太陽。風速5~6m/sの向かい風が吹きすさぶなかでのレースとなった。2位で追ってくる国学大に、一時21秒差までに詰められるも、安原は安定したレースを展開。第5中継所では、2位との差を44秒差にまで広げ、首位の座をより磐石なものとしてアンカーの鈴木芽吹にタスキリレー。5区を19:04で快走し、区間賞を獲得した。

6区

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(撮影:宮澤希々)

安原から笑顔でタスキを受け取った鈴木。今年の箱根以来のレースとなる復帰戦で、最長区間のアンカーを任された。レース前には「勝つ。優勝のゴールテープを切りたい」と意気込み、2位の中大と44秒差でタスキを受け取るとそのまま独走状態へ。風を直に受けながら出雲大社前を通過すると2位との差を44秒差から52秒差に広げた。向かい風から追い風に変わると、さらにペースを上げる。そのまま首位独走を貫きビクトリーロードが視界に映ると、涙を拭い拳を突き上げた。仲間の"芽吹コール"を全身に浴び、声を発しながら優勝のゴールテープを切った。見事復活を遂げた鈴木は、三大駅伝制覇への道を切り開き、区間賞を獲得。駒大の出雲優勝は9年ぶり4度目となった。

インタビュー

*時間の都合上、限られた選手のみのインタビューとなっております。

1区:花尾恭輔

――優勝した感想は
「嬉しい」

――自身の走りを振り返って
「久しぶりの1区でいいレースができたかと思う」

3区:田澤廉

――鈴木芽吹選手の故障について
「自分も少しばかり声かけをやっていた。鈴木に関しては特に、今年は駅伝を走ってもらいたいという思いが自分自身強かった。いかにけがをさせない取り組みをどうするかを自分の中で考えていた。芽吹が走れている時でもすごく気にかけ、怪我をしないように促したりアドバイスをしてきた。その結果なのかは分からないが、怪我なくできた。やはり鈴木には力があるため、いかにしてけがをしないかが課題になってくる。(鈴木に対して)『次期エースはお前しかいない』と言ってきた。今日はそれらしい走りをしてくれたのではないかと思う」

――今日の自分の走りは
「状態が悪すぎたため、他大のエースを抑えることに専念した。記録も狙いたかったが、そのような状態ではなかった。4月の金栗記念から出雲まで調子が悪いときがあった。全日本は気をつけたい」

――体調が悪かったというのは
「1週間前に感染性胃腸炎になってしまい、今でも治っておらずお腹が痛い。今日も走る時に痛くなり、全然力が入らず耐えるだけになってしまった」

――顔を歪ませて走っていた理由はお腹が痛かったからか
「そうですね。疲れで足が動かないよりも体がきつかった」

――自分の中で体調が悪くても区間賞を取れると思っていたか
「結果を見れば危なかったが、自分がその中でも勝つことができなかったら世界で戦える選手にはなれない。創大のフィリップムルワ選手には負けたが、他大のエース級は抑えることができたためよかった」

5区:安原太陽

――区間賞をとったことについて
「区間賞をずっと目標にしていた。今回の区間では自分が持ちタイムは1番だったのでそこで区間賞をとらないといけないというプライドを持って今回走った」

――向かい風でのレースだったが、どうだったか?
「向かい風は自分の中では得意だと思っている。自分の走りのいいところを生かせる区間だったと思う」

――今日の調子は良かったか
「夏合宿から調子が上がってきた状態でよかった」

――レースプランは
「去年、前半つっこみすぎて後半失速してしまった。今回は前半ちょっと抑え気味で後半ラスト2kmからどんどん上げていくというレースプランだった」

――全体的に走りを振り返って
「序盤、しっかりと焦らず、後半ちゃんと上げていけたのは自分の中で評価できる」

――チームで優勝できたことに関しては
「3冠を目指してやっているので、まずは優勝できたのはよかった。あと、2レースあるのでそういった部分をしっかり考えて、3冠達成できるように今後も練習を積んでいきたい」

6区:鈴木芽吹

――箱根が終わってから、今日までどのように過ごしてきたか
「2月までは本当に何もしていなかった。3月から少しずつ走り始めたが、5月と6月にも、またちょっと故障があって、本当に全然走っていないという感じだった。7月からようやく軌道に乗り始めて、夏合宿も全体からは少なめのメニューだったが、しっかりやりきることができた。調子が上がって今日まで来ることができた」

――安原太陽選手からタスキを受け取った時、笑顔が見えたが、その時はどのような気持ちだったか
「前の5人が、頑張って繋いでくれたことへの感謝とか嬉しさから(笑顔が出た)」

――かなり風が強くて、向かい風だったと思うが、走りには影響があったか
「向かい風は最後の1kmくらいと最初の2kmくらいだった。感覚的には追い風とか横風の方が多かった」

――走りながら考えていたことはあるか
「とにかく自分の走りをする。タイムを刻むということだけを考えていた」

――大八木弘明監督からは「心配だった」という言葉もあったが、自分自身はどうだったか
「正直なところ不安は結構あった。監督からも『将来世界を目指すならアンカーを走るくらいでビビってちゃダメだ』ということや『次のエースなんだから、覚悟を決めてやれ』と言われて自分でも強い気持ちを持って走れた」

――チームの結果、優勝に関してはどう思うか
「まず3冠をするためにはここを勝たなくてはどうしようもないので、ここを勝てたのは良かったと思っている」

――チームの中でMVPを決めるなら誰か
「僕は、花尾恭輔。花尾のレースをずっと携帯で見ていて、それを見て自分でも頑張ろうと思えた」

大八木弘明監督

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(撮影:清水呼春)

――田澤選手のところではどうだったか
「(3区では)まだ分からなかった。最後の安原の方で、芽吹の入りだったら勝つなと思いました。5区でもう勝てるなと。あそこで40秒離れた時点でもう勝つと思いました」

――安原選手と山野選手を抑えたのは指示か
「そう。ものすごい向かい風なので、初め入っていくと後半で動けないから。前半も半分くらいまで余裕を持って行って後半半分。もう一気にいけっていうような指示でした」

――田澤選手が世界に向かって戦っていくということは、チームにどう影響するか
「芽吹とか上のエース格の連中たちが田澤の練習をみていたら、こういう風な練習をしていないとやっぱり27分20.30秒は切れないんだなとか、やっぱり世界と戦ってきたらこういう練習が必要なんだなと。だんだん練習の中で、田澤の練習を見ていると下のエースたちの子供たちが、僕もああいう練習やれるようにやれるように頑張りますという形を持ってきてくれたのは大きかった」

――田澤選手にとって、そういう意味で、食らいついてくるのは佐藤圭汰選手なのか
「そう。この間も圭汰が田澤さんと一緒に5000mやりたいとか、くっついていきます」

――それはいいのか
「いいと。今日はいいけど、試合前はちょっと、下の芽吹たちとやろうと。そういうのがある」

――これまで、田澤選手は別メニューでやろうという事があったが、今は佐藤圭選手も同じメニューか
「(田澤の状態が)いい時はやらない。少し体調が悪い時などで落とした練習のときにやる。芽吹とかと。田澤のいい時は誰もやれない」

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