デジタルメディアが台頭する中での経営戦略
皆さんは新聞を購読していますか? もし購読していなかったとしても不自然なことではないのかもしれません。
5月14日の現代マネジメントⅠでは、先週に引き続き経営支援NPOクラブの杉田一志様をお迎えし、新聞業界についてお話しいただきました。
日刊ゲンダイでデジタル化に携わった経験を持つ杉田様は、新聞社の変化を間近で見てきました。長い間マスメディアのトップに立っていた新聞社は、販売部数と広告収入の減少が止まっていません。デジタル化を進めたものの、ポータルサイトから新聞社の情報を得る構造ができており、大きな課題となっています。
安定しているように見えていた新聞社ですが、歴史をさかのぼれば、経営難に陥って経営譲渡や廃刊、倒産した企業もあるのは事実です。そこで導入されたのが宅配制度です。これにより新聞社は長く安定的な収入を得ることができました。しかし、インターネットメディアの登場で、今度はその宅配制度が経営の重荷になりました。現在、新聞社はデジタル化と不動産事業という収益の支えを通じて、新しいステージに入っています。
「以前の新聞社では考えられなかった新しい事に挑戦して、新しい新聞を作っていくチャンスがある」と杉田氏は学生に語ります。その後、杉田氏からSCP理論を中心とした業界構造の講義があり、理解を深めることができました。
質疑応答では、「ポータルサービスを通じて記事が読まれる中、どうやって収益を確保していますか?」といったビジネスに関する質問から、「日本の報道の自由度ランキングの順位の低さはどういった原因があると考えていますか?」といった報道に関する質問まで、数多く寄せられました。杉田氏は時間を取って丁寧にお答えくださいました。
終了後、受講生からは、「需要が低下する中、形を変えて進み続けていることに驚いた」といった感想や、「情報は私たちにとって無くてはならない存在なので、新聞という媒体が残って欲しい」といった感想が寄せられました。
深い学びを得ることができました。どうもありがとうございました。
(H.O.)