経済学のパラレルワールド : 入門・異端派総合アプローチ(岡本哲史, 小池洋一編著)

眼横鼻直(教員おすすめ図書)
Date:2023.04.01

書名 「経済学のパラレルワールド : 入門・異端派総合アプローチ」
編著 岡本哲史, 小池洋一
出版社 新評論
出版年 2019年11月
請求番号 331/1137
Kompass書誌情報

経済学は経済や経済活動の仕組みについて様々な議論を行ってきました。現在、一般的に、主流派あるいは正統派とされる経済理論・経済思想は新古典派経済学ですが、この主流・正統とは理論の正しさではなく、その派閥に属する経済学者の数が多いという意味です。したがって、正統・主流の反対は異端ですが、新古典派経済学に属さない異端な経済理論・経済思想が間違っているというわけではありません。むしろ、こうした異端な理論・思想の方が現代資本主義を分析し理解する上で優位性を持つ場合があります。しかし、教育現場で教授される経済学の理論・思想は多様性を失いつつあり、新古典派経済学への偏りが見受けられます。本書は、このような経済学教育の現況に危機感を持った、各分野の最先端の研究に取り組む経済学者が集結し、「異端派経済学」の様々な理論や思想の概要とポイントを解説しています。

本書で紹介される異端派経済学は、マルクス派、制度学派、ポスト・ケインズ派、進化経済学、ネオ・シュンペタリアン、レギュラシオン理論、スラッフィアン・新リカード経済学、共生経済、新開発主義、公正経済など多岐に渡ります。一方、新古典派経済学と一口に言っても、それは限界学派、ケンブリッジ学派、オーストリア学派、スウェーデン学派、ローザンヌ学派、マネタリズム、合理的期待学派、リアルビジネスサイクル論などがあり、一枚岩ではないことが本書では論じられています。

本書は、経済学・経営学を専門とする学生に対して、授業やゼミナールを通じて修得する経済理論・経済思想を相対化する機会を提供するでしょう。また、経済学・経営学を専門としない学生も含めて、物事を多角的に捉えて考える複眼的思考を本書によって身につけることができるでしょう。経済問題・社会問題に対する「答え」は1つではないこと、いくつもある「答え」のいずれもが正統性をもつことがわかるでしょう。

経済学部 教授 山田 雅俊

< 前の記事へ | 次の記事へ >