DATE:2021.02.15仏教行事のおはなし
涅槃会
仏教学部 加納 和雄 准教授
本学では毎年2月15日に涅槃会という仏教行事が行われ、80余歳で生涯を閉じた釈尊に思いを寄せます。釈尊の死は『涅槃経』という経典の中で語られ、そこでは釈尊亡き後に仏教徒が何を拠り所とすべきかを説きます。その依り処は、釈尊の教えと、自分自身であるといいます。
時代が下ると、この「釈尊の教え」(仏説)を、「釈尊の発言した言葉のみ」に限定するのか、あるいは、「その言葉の意図を汲んだ教え」をも含めてよいのかによって仏教徒たちの理解は分かれました。
この中で後者は、その後のアビダルマや大乗仏教への展開の道筋を切り拓くための根拠となり、やがてそれらの教えは中国などを経て日本へと伝播し、現代の日本仏教の礎となりました。
われわれに伝え残された仏教の歴史を遡ると、紆余曲折を経ながらも必ず釈尊にまで辿りつくということを思い返しながら、涅槃会に釈尊に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
※ 本コラムは『学園通信345号』(2021年1月発行)に掲載しています。掲載内容は発行当時のものです。