仏教行事のおはなし

本学教員が、身近な仏教行事をわかりやすく解説します。

DATE:2016.11.08仏教行事のおはなし

太祖降誕会

仏教学部 教授 佐藤 秀孝

越前永平寺開山の高祖道元(1200~53)と、能登總持寺開山の太祖瑩山紹瑾(1264 ~ 1325)を両祖に仰ぐ曹洞宗では、さらに2人を加えて50年間に4度の大遠忌が挙行されている。永平寺では道元と二祖孤雲懐奘(1198~1280)を、總持寺(明治期に横浜市鶴見に移転)では瑩山と二祖峨山韶碩(1276~1366)を、重要な祖師として報恩供養している。 『正法眼蔵』など膨大な道元の著述は懐奘によって後世へと託された。懐奘がいなかったなら、道元の深遠な仏教哲学は今日まで纏まった形で残らなかったかもしれない。そんな孝順の功績を称えて懐奘を特別に讃仰している。

一方、峨山は瑩山の遺志を受け継ぎ、總持寺に40年以上も住職し、「峨山下二十五哲」と称される多くの弟子を育成した。峨山は曹洞宗全国展開の礎を築いた祖師であり、この人が世に出なかったなら、曹洞宗は現今の十分の一ほどの勢力で終わったことであろう。後継者の人材育成、總持寺護持の輪番住持制、檀信徒への布教教化など多岐にわたる峨山の絶大な功績によって、現在の曹洞宗ひいては駒澤大学も存在できたといって過言でない。そんな峨山の思いを「相承」(そうじょう)(人から人へと受け継ぐ)の語に込めて「峨山禅師大遠忌」が10月20日の命日に最終日を迎える。

11月21日の「太祖降誕会」に代えて、今回は「峨山大遠忌」を紹介した。

木造瑩山紹瑾坐像(石川県永光寺所蔵)
木造峨山韶碩坐像(石川県永光寺所蔵)

※ 本コラムは『学園通信319号』(2015年10月発行)に掲載しています。掲載内容は発行当時のものです。

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