DATE:2022.06.22仏教行事のおはなし
盂蘭盆会
仏教学部 講師 村上 晶
盂蘭盆会は中国から伝わったものです。その由来は『仏説盂蘭盆経(うらぼんきょう)』というお経に書かれています。『日本書紀』には既に盂蘭盆会の語が見られ、早くから日本に伝わってきたことがわかります。お寺では施食会(せじきえ)(施餓鬼会(せがきえ))も行われ、先祖、そして全ての死者が弔われます。
しかし、一般には「お盆」という言葉のほうが馴染みがあるのではないでしょうか。家庭によっては迎え火を焚いたり、盆棚を作ったり、また、地域によっては精霊流しをしたり、墓前で花火をするなんていうところもあります。それらの習俗は、先祖の霊を迎え、もてなし、送るために行うという説明がなされます。
古くからお寺で行われてきた盂蘭盆会と、各地で行われている多様なお盆の習俗はどこか異質なもののようにも見えます。しかし、両方があることによって、より多くの死者に供養を行き届かせることが可能になっているとも考えられるのです。
※ 本コラムは『学園通信348号』(2021年7月発行)に掲載しています。掲載内容は発行当時のものです。