理事長メッセージ
学校法人駒澤大学 理事長:石川 順之
この度、令和4年11月1日より、理事長に就任いたしました石川順之でございます。長い歴史と伝統を誇る駒澤大学を擁する学校法人としての重責を担うこととなりましたが、覚悟と決意をもって、その職責を果たしてまいる所存でございます。何卒よろしくお願い申し上げます。
長い歴史と伝統と申し上げましたように、駒澤大学の前身は、1592年に江戸駿河台の吉祥寺境内に創設された旃檀林と称される学寮でございます。麻布北日ヶ窪に移転した後は、曹洞宗大学林専門本校となり、今から100年余り前の1913年に現在の駒沢の地に移転しました。その後は、寺院の子弟ばかりでなく、広く一般にも門戸を広げた総合大学として、時代の変化に則して学部の増設や教育・研究施設の拡充をはかり、現在の7学部8研究科1専門職大学院を擁する現在の駒澤大学の姿に至っております。さらに附属高等学校を2校併設し、高大連携による建学の理念に基づいた、人材育成の充実にも努めております。
駒澤大学では、これまでも時代の要請に応じた質の高い教育研究活動を推進すべく、計画的に施設環境を更新改修してまいりました。本年2022年には開校140周年を迎え、新たな図書館も開館いたしました。とはいえ、地域に開かれた大学としての環境整備には、まだまだ課題も残されております。培われた伝統を守りつつ、グローバルな社会状況の変化に対しても臆することなく革新を重ね、学生、生徒の皆さんが有意義な日々を過ごし、身心とも健やかに学業や諸活動に励んでいただける環境を、役員並びに教職員が一丸となって整えてまいりたいと存じます。
誰一人として予想できなかった新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界中に多くの不安と混乱を招きました。教育研究機関としても多くの難問に直面し、果敢な対応が求められたことは、我々の記憶にも新しいところでございます。駒澤大学の伝統である「禅の智慧」は、単なる頭の中だけに留まる知識だけではなく、様々な価値観や広い社会との関係の中で、人と人とがつながる豊かで温かみのある真心の疎通にこそ、現成するものであります。コロナ禍で分断されつつあった人と人とのつながり、すなわち『ご縁』というものを、改めて見つめなおされた方々も多かったのではないかと拝察いたします。
自分自身の意思が、自分を取り巻くすべての現象をその未来へとつなげていきます。こうした人生の大きな命題に、主体性をもって生きることは、卒業してからもなお続くものであり、自らの人生の幸福が、明日出会う人々と共感する幸福となり、やがてさらに広がって世界平和へとつながっていくものです。そうした高い志を、建学の理念に基づく唯一無二の付加価値として、学生、生徒の皆さんに体得していただきたいと願っております。そして、いずれ皆さんが、幸せや喜びを多くの人と共に実感することができるように尽力してまいります。
今後も役員並びに教職員一同、そして卒業生やご支援いただいております皆様のご理解とご協力をいただきながら、未来を共に切り開いてまいりたいと存じます。皆々さまには、ご法愛とお力添えを賜りたく、よろしくお願い申し上げます。
合掌