第66回米国医学物理学会(2024AAPM) 参加録
第66回米国医学物理学会に藤田先生、中島先生、大学院生からは博士課程の鶴巻さん、酒井さん、修士課程の井出さん、坂本さん、仁科さんが参加しました。
- 期 日:2024年7月21日-25日
- 開催地:The Los Angeles Convention Center, Los Angeles, California, United States
- 学会名:AAPM 66th Annual Meeting
第66回米国医学物理学会 参加録 / 博士課程2年 酒井海渡
2024年7月21日から25日にかけて、ロサンゼルスのコンベンションセンターにて、第66回AAPM年次会議 American Association of Physicists in Medicine Annual Meeting) 開催されました。駄文ではござ いますが、最後までお付き合いいただければ幸いです。
これまでAAPM Annual Meetingには、2022年にコロナ禍にオンラインでの参加のみで、今回現地で初めてでしたので、学会の規模やアメリカでの交流など、初めての海外ということもあり、非常に興味があり、楽しみにしておりました。
成田空港から約10時間のフライトでロサンゼルスに無事到着しました。ロサンゼルスの天気は、日本と比べて、気温も25度前後で、湿度も低いのか過ごしやすい気候でした。今回の学会では、力を入れ、最新の研究やトピックをしっかり学ぼうと決意していました。しかし、参加してみると、初日は時差ボケも相まってセッション中に何度か気を失いそうになったのは、ここだけの話です。学会では、やはり今回のAAPMでは、AI関連の演題が多く見受けられました。特に、Adaptive radiotherapyやAuto Segmentation, planningといった技術が多くの注目を集めており、最新の研究や基礎的な知識を知ることができて、大変勉強になりました。
発表についてですが、私は「Evaluation of Monte Carlo-Based Independent Dose Calculation Software for Patient-Specific Quality Assurance in Helical Tomotherapy for Angiosarcoma」という内容でPoster発表しました。今年は、1時間の持ち時間が与えられ、自分のposterを見にきた方と質疑応答をするという形式のものでした。私の発表では英語で話すことは無かったのですが、有益なDiscussionができましたのでfuture workに生かしていきたいと思います。また、他の方のposter発表で気になる演題があり、質問をしてみたのですが、もっと詳しく聞きたいのにフレーズが出てこなかったことや、うまく伝えきれていないと感じた部分もあり、今後自分の研究や知りたいことをより多くの方々に伝え、Discussionを行っていくためにも単語だけではなく英語の会話力のスキルアップが必須であると改めて感じました。
さて、学会参加記はここで終わりではありません。今回は「食事・物価編」「治安編・出来事編」という2つでまとめてみました。まずは食事・物価編から。
【食事・物価編】
ロサンゼルスに到着して最初に直面したのは、やはり物価の高さでした。学会初日、ランチに立ち寄ったカジュアルなレストランで注文したハンバーガーが、なんと4000円ほど。円安のため、日本円に換算するたびにため息が出ますが、これがロサンゼルスでの現実です。そのため、結局学会中はハンバーガーばかり食べる羽目に。どの店でも値段は似たり寄ったりで、どこで食べても美味しいけれど、胃袋と財布にじわじわとダメージが...。
一方、学会の合間には企業主催のディナーにも参加しました。こちらはさすがに豪華な食事が提供され、肉やシーフード、各種ビールが並びました。研究者仲間と交流を深める貴重な機会でもあり、リラックスした雰囲気の中で、普段は話さないようなことも話すことができました。企業主催のディナーはこうしたネットワーキングの場としても非常に有意義であり、学会の醍醐味の一つです。また、食事の費用を抑えるために、滞在中に何度か訪れたスーパーマーケット(Whole Foods Market)では、地元の生活を感じることができました。ロサンゼルスらしく、広々とした店内にはあらゆる商品が揃っており、食材から日用品、そしてお土産まで何でも揃う便利さは圧巻です。特に印象に残ったのは、アメリカならではの巨大サイズの食品パッケージや、カラフルなお菓子の数々でした。そんなこんなで、ロサンゼルスでの食事や買い物は、日本とはまた違った刺激に溢れ、高い物価に悩まされつつも、こうした経験は学会の醍醐味だったと思います。次回ロサンゼルスに来る時には、もっといろんなローカルフードにも挑戦したいと思います。
【出来事・治安編】
ロサンゼルスでは、予期せぬ刺激的な経験がいくつもあり、忘れられないものになりました。学会会場を出てすぐに、黒人の二人組に親切を装って絡まれるという一幕がありました。最初は笑顔で話しかけてきた彼らでしたが、徐々にその意図が見え隠れし始め、危うくお金を取られそうになりました。幸い、何とかその場を切り抜けましたが、大都市ならではのリスクを改めて感じました。
また、移動中にロサンゼルスの地下鉄に乗った際、さらに驚く出来事がありました。電車に乗り込んできたのは、自転車に乗った犬を連れた男性で、彼は大音量で音楽を流しながら堂々と座っていました。ついには他の乗客と口論が始まる始末。この瞬間は、ロサンゼルスの多様性とエネルギーを肌で感じる経験となりました。ちなみに私と職場の上司は眠すぎて、寝てはいけないのでしょうが、サングラスをかけて寝ていました。
しかし、ロサンゼルスでの出来事は驚きや緊張だけではなく、素敵な縁にも恵まれた旅となりました。宿泊したホテルは学会会場に近く、多くの企業関係者も同じホテルに滞在していました。エレベーターで偶然出会った企業の方々と会話を交わしたことで、その後の機器展示で特にフレンドリーに対応していただくなど、思わぬところで人と人との繋がりが広がりました。こうした小さな出会いが、学会参加をより豊かなものにしてくれると実感しました。ロサンゼルスでのAAPM2024学会は、都市の大きさと多様性に圧倒されながらも、貴重な経験を積む機会となりました。日常では味わえない出来事に溢れた学会は、私にとって忘れられないものとなりました。
以上、AAPM2024の学会報告記でした。最後に、発表を行うにあたりご指導、ご尽力いだきました先生方、ならびに、このような機会を与えて下さいました東京都立駒込病院、放射線治療部の皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。