2005年度発掘調査報告

日本発掘:埼玉県江南町 立野遺跡

4号墳作業風景 5号墳作業風景 鉄鏃(4号墳前庭部出土) 須恵器片(4号墳周溝北出土)

8月1日から9月1日まで埼玉県大里郡江南町立野遺跡で第4号墳と5号墳の2基の古墳を発掘調査しました。

4号墳は直径35.3mで埴輪や葺石などは確認できず、胴張り石室であることから、7世紀に築造されたものと考えられます。石室は全長4.7mで、玄室長3.3m、幅1.3mで南に開口し前庭部に続いています。また、4号墳は盗掘を受けており、石室が破壊されていました。

墳丘は築造途中にいったん墳丘土を保護するために土留めを行った土留め帯が全周し、それをさらに土を積み上げて覆い墳丘を作っていました。

周溝は全周しており、最大で幅が4m、深さが70cmほどあります。周溝からは須恵器片や土師器片が、石室からは刀子がそれぞれ出土しています。

5号墳の直径は不明で縄文や中世の遺構と切り合っています。玄室は全長2m95cm、幅130cmで南に開口しています。墳丘や前庭部が中世の遺構と切り合い、墳丘や石室がほとんど削平されています。

周溝は北側に半周するだけで、最大で幅が2m、深さが80cmほどです。遺物は古墳時代の土師器片、中世の板碑片や内耳土器、北宋銭・明銭などが出土しています。

中国発掘:陝西省岐山県 鳳凰山遺跡

発掘作業風景1 発掘作業風景2 発掘作業風景3

9月8日から9月20日までの12日間中国陝西省宝鶏市岐山県で北京大学が発掘調査をしている周公廟遺跡の発掘調査に参加しました。

周公廟遺跡は西周時代の王墓があった場所ではないかと想定されているところで、二重の城壁に囲まれ37基の大型墓が見つかり、10基には4つの墓道を持つ王墓級の墓です(「京都新聞」「信濃毎日新聞」2005.5.25)。作業風景3の写真の奥に見える白いプレハブが大型墓群です。

今回大型墓の近くで大規模な版築建物跡を発掘しました。版築は厚いところで2m以上を測り、先周時代の灰坑と切り合っていました。遺物としては、獣骨や土器片、空芯磚などが出土しています。