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DATE:2020.01.20研究レポート
研究こぼれ話『ドライブの悩み』
法学部 髙田 実宗 講師
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- 法学部 髙田 実宗 講師
今日はドライブしよう。とりあえず湘南をめざす。うわっ、渋滞。イライラ。助手席で不機嫌になる彼女。僕はフラれた。
どうやったら、渋滞を減らすことができるのか。注目されてきたのがロードプライシング。その街に車で行ったら、おカネを取られる。おカネを払いたくないから、みんな電車で行く。デートスポット鎌倉は、そんなことを考えた。しかし、これが一筋縄ではいかない。
社会のルール。法律だ。その壁が立ちはだかる。道路は、社会生活に不可欠な基盤だから、タダにする。これを道路無料公開の原則という。もちろん、道路の整備にはカネがいる。みんなから集めた税金を注いできたらしい。
クルマ離れ、エコカーの普及。道路を支えてきた税金が集まりにくくなっている。その一方、むかし作った道路がボロボロに。修理のカネが足りない。そうだ。クルマの走行それ自体に課金しよう。お役人は、検討に入った。あれっ、法的な課題が山積している。
私の研究は、交通が抱える政策課題を素材に、法理論を構築することである。同じような課題を抱えながらも、なんとか対策を講じようと模索するドイツ。日本にない考え方。ドイツの法的議論は示唆に富む。新たな価値観。実に面白い。
ドイツ法を参照して、交通法制の行く末につき、その理論化を試みる。微力かもしれないが、自らの研究が世の中の役に立っている。これが研究者としての誇りだ。今度は素敵なドライブにしたい。
※ 本コラムは『学園通信340号』(2020年1月発行)に掲載しています。掲載内容は発行当時のものです。
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