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「遠回りに見えても無駄なことは何一つない。夢をもって、まずは行動を」
株式会社ダーンウォーカー デザイナー 水船 智之 さん
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- 株式会社ダーンウォーカー デザイナー 水船 智之 さん
- 1985年神奈川県生まれ。2007年文学部国文学科卒業。2009年株式会社エイティングに入社。モンスターハンターシリーズやテラバトルなどの人気作品に携わる。2016年からは活動の場を株式会社ダーンウォーカーに移し、デザイナーとして、新たなステージで活躍中。
ゲーム業界でデザイナーとして、有名作品の制作に携わり、活躍をし続けている水船さんに、学生時代から今に至る軌跡を伺いました。
どのような学生時代でしたか?
学業は当然として、アルバイトもしていたので、かなり忙しかったです。それに、美術部と陶芸部にも所属していて。ある朝突然、美術部の先輩に連れ出されて、1週間かけて関西・四国・九州を車でまわったこともあります。ろくに準備をしていないので、身も心も財布もボロボロ(笑)。大学は色んな価値観や志をもった人が多く集まっているので、友人や先輩、先生方との出会いの中で、凝り固まった価値観や殻が良い意味でどんどん壊されて。まさに自分の視野がグッと広がった感じです。
美術部では色んな絵の技法にも触れましたし、部長も経験したのでコミュニケーション力も鍛えられました。
ゲームデザイナーを目指したきっかけは?
子どもの頃からずっと絵を描くことが好きで、実は漫画家になりたかったんですよ。高校時代には、漫画雑誌に作品を投稿したりもしていました。その頃、友人に「お前はストーリーがだめだ」と言われて、物語を学びたいと思って、文学部国文学科に入りました。結局、漫画家の夢は挫折してしまったのですが、絵を描く仕事に就くことは諦め切れませんでした。大学2年生の時に、友人や先輩と色んな話をする中で、「別に、漫画だけじゃないんじゃない?」って言われて、一気に意識が広がった。絵を描くことができる業界は他にも色々あるんだなって。中でも一番興味をそそられたのがゲーム業界で、「ゲーム業界で絵を描く」という具体的な目標ができ、卒業してから絵を学べる専門学校に行こうと決めました。
大学卒業後、ゲーム業界に入るのに 苦労した点と良かった点は?
僕のように、大学卒業後に専門学校へ行って就職するパターンは10人に1人ぐらい。大半の人は、小さな頃からゲームを作りたい、絵を描きたいと思って、高校を卒業してすぐに専門学校や美大、芸大に行きます。そういう人たちと戦うわけですから、甘くはないです。でも僕は、大学を中退しようとは全く考えませんでした。卒業は親との約束でしたし、自分も途中で投げ出したくなかった。大学4年間は、遠回りのようですが、今では無駄なものは一つもなかったと断言できます。
例えば、自分の興味に縛られず文学からライトノベルまで幅広く読んだこと。今は、新しいゲームのキャラクターを考え出してデザインする仕事をしているのですが、深く考える力がないと、 魅力あるキャラクターは作れませんし、 良い絵は描けません。文章と絵、アウトプットの形は違いますが、根底で繋がっていて、アイデアの引き出しとして今も生きています。
実は、ゲーム業界で絵を描く仕事って、全体の1、2割位しかないんです。必死の努力と、大学時代からの様々な経験や人との出会いが積み重なった結果、僕は今、憧れの会社で夢だった絵を描く仕事ができているのだと思います。
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(上記イラストは、個人作成のもの)
仕事で達成感を感じるのはどういう瞬間ですか?
やはり良いものができた時ですね。 ユーザーからの反応が一番うれしいです。特にスランプを乗り越えて、良い作品を生み出せた時の達成感は最高です。人を喜ばせる仕事なので、本当に良かったと思える瞬間です。
学生にメッセージをお願いします。
この歳になって改めて思うのが、悩むより行動した方がいいということです。動かないと何も始まらないし、動いて失敗はない。経験したことで、無駄なことは何一つないんです。直接的には成果に結びつかなくても、結局どこかで繋がって、成功へと導いてくれます。僕はそれを、身をもって実感しています。「食べていけたらいい」というような夢のない人もいますけど、それではもったいない。もっと夢や欲をもって、悩む前にどんどん行動を起こして、チャレンジし続けて欲しいです。
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※ 本インタビューは『学園通信328号』(2017年7月発行)に掲載しています。掲載内容は発行当時のものです。
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自分の興味に向かい合いたくなったら勇気を持って一歩を踏み出す
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