「史上最強の駒大」へ 夏合宿インタビュー(後編)
昨年度、史上5校目の三冠を達成した駒大。来たる三大駅伝に向け、夏合宿で注目選手のインタビューを行った。
後編では、主将の鈴木芽吹(営4)と副主将の金子伊吹(歴4)、4年生の学年リーダーを務める安原太陽(地4)のインタビューを紹介する。
◆安原太陽
ーー前半シーズンを振り返って
「個人的にはかなりレースに出た。自己ベストは出すことができなかったが、個人選手権で勝ち切ったり、ユニバでメダルを取ったりと収穫の多い前半シーズンだったと思う。チームとしても唐澤(拓海、市4)や白鳥(哲汰、経4)といった4年生がタイムを出して、その雰囲気で下の選手たちもすごく頑張って、個人個人がかなり良い内容で前半シーズンを終われたのではないかと思う」
ーー前半シーズンで個人的に印象に残っているレースは
「学生ハーフ。1キロちょっとで途中棄権し、そこでユニバを逃してしまい、かなり悔しかった。そこからユニバ決めるには5000mしかなかったので、気持ちを切り替えてトラックで勝負をすると決めた大きな出来事だった」
ーー昨年頃から常にレースに出続けている印象だが、その要因は
「故障しないこと。毎日毎日怪我をしなければ練習を継続できるし、継続が強くなるための1番の近道だと思っているので、それが要因だと思う」
ーー故障をしないために気をつけていることは
「積極的にケアや治療に行くことはもちろんだが、体を作る中で動き作りをすごく大切にしている。一本歯下駄という下駄を使ったトレーニングで、故障しないように頑張っている」
ーー下駄は高校生の時から使っているのか
「高校の時の動き作りの先生が教えてくださって、今でもzoomで指導をしてもらっている」
ーーどこを鍛えるものなのか
「いろんな部分を鍛えるが、主に筋肉と骨をくっつける腱を鍛えている。筋肉をどれだけ鍛えても、骨と筋肉をつなぐ部分が弱いと故障してしまうので、腱を鍛えることを意識してやっている」
ーーこの夏合宿のテーマは
「前半シーズンかなりレースに出ていて距離を踏めていなかったので、距離を踏むことを1番の夏合宿のテーマにして取り組んでいる」
ーーこれまでの夏合宿と比べて今年はどうか
「4年生としてチームを引っ張っていかなければならない立場にいるので、自分の練習だけでなく1〜3年生を引っ張っていくという意識で取り組んでいる」
ーーこれからのシーズンに向けての目標や意気込みは
「1番大きなテーマは2年連続の3冠というところで、個人としてもチームとしてもしっかりその目標を達成したい。個人としては、3大駅伝を全て走る。昨年は出雲駅伝では区間賞を取れたが、あとは取れなかったので、今年は3つ全てで区間賞を狙っていく。3大駅伝全て走ることができて3冠することができたら、今まで2年連続の3冠で全て走った選手はいないのでそこを目指して頑張る」
◆金子伊吹
ーー前半シーズンを振り返って
「個人的な結果は、ハーフマラソンに出させてもらって、4月の焼津みなとマラソンで1位、6月の仙台国際ハーフマラソンで学生1位で、多少結果は出たのかなと思う。関東インカレはちょっとだめだったが、他のハーフマラソンも大崩れすることなく、本数を多く走れたのは力がついたと感じている。チーム的な結果を見れば、関東インカレはハーフマラソンでは1位2位を獲れて、ほかのトラック競技を見ても『他大に負けない』というところはできたので、良かったと思う」
ーーハーフマラソンは疲労も大きく、コンスタントに数をこなすことが難しい競技だと思うが、要因や意識していることは
「一応体のケアは、しっかりやる方ではある。多分他の選手の1番の敵はたくさんレースに出ると、けがをしやすくなるということ。ケアの部分もそうだが、自分自身があまりけがをするタイプではないので結構出られたのかなと思う」
ーー体が絞られた感じがするが
「練習をしていたら勝手に。1、2年目は体ができていないところがあったが、けがは昨年度の8月くらいにアキレス腱を痛めただけ。今までずっとやってきたのが、4年目にして出てきたと思う」
ーー前半シーズンで印象に残っているレースは
「関東インカレのハーフマラソン。悔しさが1番だが、まさか大学生活中に関東インカレに出られると思っていなかった。急遽出るという形ではあったが、注目度の高い大会に出られたことがうれしかった。しかし、出てみたら結果的には何も残せなかったので、まだまだだという意味も含めて印象に残っている」
ーー前半シーズンは4年生の活躍が目立つように感じたが、現在の4年生の雰囲気は
「元々だが、みんな意識高くやっている。4年目ということもあって、各々が今まで以上に陸上に対して本気で向き合っているところが出たのかなと思う」
ーーチーム全体の現在の状況や雰囲気は
「上のレベルのメンバーは、3大駅伝3冠の目標に向かって頑張っていると思うが、力の差で下のレベルの子たちは、そこに本気で向き合えていない。夏合宿もそろそろ終わってしまうが、まだまだこれから意識を変えて『みんなでやっていこう』というのは、より一層やっていきたい」
ーー以前取材をさせていただいた時に「自分はコミュニケーションを取ることが得意だから、副主将としてそこをメインにやっていく」というお話をしていた。チーム内で、気持ちの差が出た時にも、積極的に声かけなどをしているのか
「どうしてもチームにマイナスになるようなことをした選手には、厳しく言ったり、逆に今まで(練習が)できていたのに、急に走れなくなって落ち込んでいる選手には上手く声をかけたりは、しているつもり」
ーー夏合宿の手応えは
「手応え的にはあまり良くない。前半シーズンに多く試合に出てきたことが、若干影響しているとは思うが、なかなか上手く体が動かないというのもある。とても満足しているわけではないが、それでも『距離だけはしっかり走ろう』としているので、多少はできている」
ーー4年生として、ラストの夏合宿となるが
「練習の消化率でいうと、2年目が1番良かった(笑)。4年生なので練習を含め、練習以外の部分でもチームのために行動しようというのは常に持っていた」
ーー夏合宿の楽しみは
「みんなそうだと思うが、ご飯を食べること」
ーー初めて藤田敦史監督の指揮の下夏合宿が行われているが、何か変化したことはあるか
「夏合宿に限ったことではないが、選手と上手く会話してコミュニケーションを取りながら、練習メニューを決めてくれる。もちろん例年のデータを元にメニューは決めるが、選手の調子や足の具合を見て、練習メニューを組んでくれている」
ーー箱根駅伝では5区山上りを希望していると思うが、夏合宿中に特に意識していることは
「野尻湖も志賀高原もアップダウンしかないので、自然と上りは走ることになる。その時にフォームを意識したりとか、朝練習は各自でやることがあるので上りのときは速く走るようにしたりはしている」
ーー期待している後輩は
「練習の消化率を見れば、庭瀬俊輝(法3)。庭瀬は結構伸びてくると思う。もう1人はキャラ的にも面白くて、部屋っ子なので村上響(地1)を挙げておく(笑)」
ーー今後の駅伝シーズンに向けて
「チームでは3冠を掲げているので、出雲駅伝を勝たなければ次もない。まずは出雲駅伝を勝つ。個人的に考えれば、出雲駅伝は距離が短く厳しいので、全日本からチームのメンバー争いに絡めるように、これからまたしっかり練習して、メインとなる箱根駅伝に向けて練習に取り組みたい」
◆鈴木芽吹
ーー前半シーズンを振り返って
「個人的には春先はちょっとうまくいかなくて、大会もGGNと日本選手権に出たが、タイム的にも中途半端だった部分があった。ただ、6月後半の合宿くらいからは練習がちゃんとできていたので、最後ホクレン千歳でベストを出せたのは良かったと思う」
ーー前半シーズンは4年生の活躍が目立ったように思うが
「故障している選手もいる中で、やはり自分がやらなきゃいけないという想いがみんなあったと思う。そういうものの相乗効果で、みんながやろうというという気持ちになって結果が出たかなと思う」
ーーチームの現在の状態や雰囲気は
「トラックシーズンはある程度結果が出ていたが、やはりその疲労もあって練習できていない選手も中にはいて、しっかり(練習が)できている人とできていない人とでちょっと分かれてしまってはいる。まだまだこれからだと思うので、どんどん状態を上げていってる段階だと思う」
ーー4年生で最後の夏合宿になるが
「4年生なので、自分のことだけでいっぱいいっぱいにならずに、周りを見るというのをすごく意識している。そういった部分が今までとは一番大きな違いだと思う」
ーー藤田監督の指導に代わってから何か変化したことはあるか
「特にないと思う」
ーー主将になって半年以上経つが、チームメイトのここに助けられているという部分はあるか
「5・6月くらいまでは個人としてはあまりうまくいっていなかったので、4年生や篠原倖太朗(地3)、佐藤圭汰(経2)が結果を出してくれたのは心強かった。自分も頑張ろうという気持ちになれたので、そこはすごい助けられたかなと思う」
ーー期待している後輩は
「まず篠原、佐藤はこのチームのエースでもあるので、この2人は3つの駅伝全部しっかり走ってほしい。1年生も練習をしっかり頑張っていて、小松聖(政1)はずっと継続してやれているので、結構いいんじゃないかと思う」
ーー夏合宿の楽しみは
「楽しみ...走ってご飯食べて寝てを繰り返していたら終わっているので、楽しいもなにもない(笑)。ご飯の時とかは普通に楽しいし楽しくないわけではないが、特にこれということはない」
ーー今後の駅伝シーズンに向けて
「2年連続の3冠を目指している。まずは10月の出雲が迫っているので、そこを確実にしっかり勝って、全日本、箱根に繋げていきたい」