Win/Mac for Geographers



Mac
買えるコンピュータは一台だけ!という人は,Macをお勧めします。入っているMac OS Xは,実はUnixベースで,開発環境も無料なので,コンピュータを使って研究する人に向いています。ここでは,地理研究者やコンピュータを使って地図を作りたい人に参考になるかもしれない情報を掲載しておきます。

Windows
でもやっぱり,Windowsが必要な場面って多いです。GISの代表格であるArcGISはWindowsでしか動きませんし,観測機材のデータ回収ソフトなどもWindows版しかないというのは普通です。そこで「困ったら両方」ということで,Macの中にWindowsを入れて,どちらにでも対応できるようにしておけば怖いものなしです。これで,一台のコンピュータでUnix,Mac,Windowsと三つのOSに対応できるようになってしまいます。

で,結局どんなコンピュータを買ったら良いの?
メモリ16GB以上のパソコンです。MacでもWindowsでもどっちでも良いのですが,それで地図を描きたいとか衛星画像を処理したいということになると,どうしても最低これくらいのメモリ容量が必要になります。もちろんメモリは大きければ大きいほど,CPUも早ければ早いほど良いのですが,それだけ値段も高くなります。それからもう一つ,画面の大きさも大きいほど良いです。ただし,大きなパソコンは重くなりますので持ち運びが大変です。しかし今は外部モニタが安いので,軽めの高機能PCを買って,家では外部モニタを繋いで使うのが良いと個人的には思います。

Parallels
Macの中でWindowsを動かすための仮想化ソフト(エミュレータ)です。いろいろ試してここに落ち着きました。どちらのソフトも使えるだけでなく,同じデータをMacからでもWindowsからでもアクセスできるのが本当に便利。安定しているし,Windowsソフトの計算速度もそれほど遅くならないという優れものです。5182円/年。

Xcode (Mac)
Macを手に入れて,Parallelsをインストール,次にWindowsをインストールしたらとりあえず遊びましょう。そしていよいよ,開発環境(Xcode)をインストールします。App Storeの検索窓にXcodeと入力すればすぐに見つかります。Xcodeを使いこなせば,MacやiOSなどのアプリを作れるそうですが,とりあえずこのソフトを導入するだけで,コマンドラインのC/C++プログラムなどが使えるようになります。「ターミナル」を起動し,$> gcc -v でバージョン情報などのメッセージが返ってきたらOKです。

テキストエディタ (Mac or Win)
プログラムを作成したり,生データを確認・調整したりするのに使用するテキストエディタは,研究に不可欠です。しかし,一般の人には用がないからでしょうね。MacにもWindowsにも標準で実用に耐えるソフトは入っていません。僕のお薦めはやはり「秀丸」(Win)。大きなファイルへの対応やいろいろな文字コードへの対応などは秀逸です。4000円+税金。
http://hide.maruo.co.jp/software/hidemaru.html
しかし秀丸Mac版はありません。昔からUnix環境で鍛えられてきた人にとってはVimとかEmacsで良いと思いますが,そうでない人には使い勝手が良いエディタとは言えないでしょう。最近の僕のおすすめはVS Code (Visual Studio Code)。MacでもWindowsでもほぼ同じ使い勝手・ユーザーインターフェースで,しかもありがたい事にフリーです。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/visual-studio-code/

ArcGIS (Win)
業界標準のGISソフト。大学や企業などで普通に使える環境にいる人は使いましょう。個人で卒業論文などで自分のコンピューターで利用したい人のために,ArcGIS for Personal Use
https://www.esri.com/ja-jp/arcgis/products/arcgis-for-personal-use/buy/
というライセンス($100/年)もあります。

QGIS (Mac or Win)
フリーのGISソフトです。使えます。機能によっては,ArcGISよりも高機能な部分もあります。 Mac版もあります。良い教科書も出ているので, まずはコストをかけずにGISを使いたい人に紹介したいソフトです。
http://qgis.org/ja/site/
GIS実習オープン教材(学部生向け)
https://gis-oer.github.io/gitbook/book/

Matlab  (Mac or Win)
数値計算やグラフの作成に使うソフトです。研究発表したり論文を書くようになると,エクセルのグラフ機能では耐えられなくなるはずです。Matlabでは,エクセルの表や気象の再解析データなどで使われるnetCDF形式のデータも「普通に」利用できるので,グラフや図の作成が楽しくなります。学生さん用のライセンス(ほとんど全部込みで税込み1万円ちょっと)もあります。
https://jp.mathworks.com/products/matlab/student.html

Python  (Mac or Win)
バイソンと読みます。コンピュータ言語の一つです。近年の「AIブーム」を下支えしている言語と言って差支えないでしょう。誰でもタダで使うことができます。MacでもWindowsでも,Anaconda
https://www.anaconda.com/
という「Pythonパッケージ」をインストールすると,基本的なデータ解析に必要な環境が簡単に構築できてしまうという優れモノです。この中に入っているSpyderというソフトの画面からPythonを使うと,その世界はほとんどMatlab。文法も分かりやすく,これからコンピュータ言語を勉強するという人にもお勧めできます。

Cygwin (Win)
元に戻るようですが,持っているPCがWindowsの場合,Mac OSやUnix環境はそのままでは付いてきません。その場合,Cygwin
https://www.cygwin.com
をインストールすることで開発環境をタダで手に入れることができます。Windowsの中でLinuxが動いているようなイメージです。X-windowシステムも動きますので,1990年代前後にUnixベースで研究を進めた人には,その資産がそのまま使えるという意味で素晴らしいソフトです。Unixとか使った事ないんだけど...という人も,例えば下の“cheat sheet”に書いてあることだけ出来るようになれば随分出来る事が増えると思いますよ。
https://www.pcwdld.com/cygwin-cheat-sheet

GMT
気候学,気象学,地震学などの分野では今でも標準マッピングツールです。インストール(というか,フォルダごとコピーするだけ)後,Macのターミナルの中から使えるようにするか,Cygwinの中から使えるように設定しましょう。WindowsのDos窓から使う方法もありますが,これはお薦めしません。
https://www.generic-mapping-tools.org/

Visual Studio 20xx
Windowの開発環境です。個人で研究や勉強に使う分にはフリーです。ただ,地理の研究に必要な人はほとんどいないと思います。コマンドラインからclコマンドも使えます。時間があって,なんでも一から作りたい人向けでしょう。

Misc.

Home