数学の基礎

講義要項

授業概要
本講義は、AIやデータサイエンスが社会のあらゆる場面に浸透する現代において、文 系・理系を問わず必須の教養となった「数学的思考」の基礎を習得することを目的とし ます。 前半では、現代技術を支える3つの数学的支柱―(1) 微分積分、(2) 線形代数、(3) 確 率・統計―の本質的な考え方を学びます。そして講義の終盤では、それらの知識を総動 員し、「ChatGPTなどの生成AIが、裏側でどのような数学を使って言葉を紡いでいるの か」というブラックボックスの中身を、数式を通じて「理解」することを目指します。 「魔法」のように見えるAI技術が、実は「確率」と「行列」の計算の積み重ねであるこ とを体感することが、本講義の最終到達点です。 本科目はデータサイエンス・AI教育プログラムのリテラシーレベル科目の一つです。
到達目標
1. (微分積分) 「微分」を変化率、「積分」を累積量として理解し、経済現象の分析 や利益最大化などの最適化問題に応用できる。 2. (線形代数) 大量のデータを「行列・ベクトル」で整理・演算し、AI計算の基礎と なる情報の構造化と変換プロセスをイメージできる。 3. (確率・統計) データの傾向やばらつきを読み解き、正規分布や確率論を用いて世 論調査や不確実な事象を論理的に説明できる。 4. (生成AI) 「次単語予測」や「文脈理解(Attention)」といったAIの振る舞いを、 確率・行列・微分の数理モデルとして統合的に理解する。
授業スケジュール
第 1 回 【微分積分】 関数とモデル化 : 現実世界の「関係性」をモデ ル化する。一次・二次・指数関数という基本モデル。[応用] 経 済学の需要・供給曲線。
第 2 回 【微分積分】 瞬間の「変化」を捉える(微分) : 微分の本質 =「瞬間の変化率(接線の傾き)」。[応用] 経済学の「限界費 用」「限界効用」の考え方。
第 3 回 【微分積分】 微分の「使い道」(最適化) : 導関数からグラ フの「山・谷」を探す。「利益を最大化する価格」など、現実 の最大・最小問題を微分で解く。
第 4 回 【線形代数】 情報を「箱」と「矢印」で整理する : 情報をス ッキリまとめる「行列」。「向きと大きさ」を持つ「ベクトル 」。行列とベクトルの基本計算。
第 5 回 【線形代数】 行列の「掛け算」と連立方程式 : 最重要:行列 とベクトルの積(Ax)と、行列同士の積(AB)。[応用] 「つる かめ算」を Ax=b の形で表現する。
第 6 回 【線形代数】 「変換」と「逆操作」 : 行列は「変換装置」。 操作を「元に戻す」逆行列の考え方。[応用] 行列でメッセージ を隠す暗号理論。
第 7 回 中間テスト : 範囲:微分積分・線形代数(第1回〜第6回の内 容) 前半で学んだ「変化の分析(微積)」と「データの整理( 線形代数)」の定着度を確認します。
第 8 回 【確率・統計】 データの「見える化」と「中心」 : 相関と因 果。統計の第一歩:ヒストグラムと度数分布表。データの「代 表」は誰か?(平均値、中央値、最頻値)。
第 9 回 【確率・統計】 データの「ばらつき」と「確率」 : 「ばらつ き」を測る分散と標準偏差。「偶然」を数学で予測する。[応用 ] 宝くじと余事象。
第 10 回 【確率・統計】 統計学の主役「正規分布」 : 多くの現象が従 う釣鐘型分布。[応用] 偏差値の仕組み。世論調査の基礎。
第 11 回 【生成AIの数学 1】 言葉を「確率」で選ぶ : なぜAIは人間の ように喋れるのか? その正体である「言語モデル」を「次に来 る単語の確率予測ゲーム」として捉える。スコアを確率に変換 する「Softmax関数」の仕組み。
第 12 回 【生成AIの数学 2】 文脈を読む「計算」の正体 : ChatGPTの 核心「Transformer」に迫る。文脈を判断する「Attention機構 」が、実は第5回で学んだ「行列の積」と「ベクトルの内積」に よる高速処理であることを理解する。
第 13 回 【生成AIの数学 3】 AIはなぜ賢くなるのか(学習と総まとめ) : AIが失敗から学ぶプロセスにおいて、第2・3回の「微分(勾 配降下法)」がどう使われているかを概観する。「構造(線形 代数)」「学習(微分)」「生成(確率)」のつながりを整理 し、期末試験に向けた総括を行う。
第 14 回 期末テスト : 範囲:確率・統計、および生成AIの数学的基礎 (第8回〜第13回の内容を中心としつつ、全範囲を問う)
第 15 回 課題授業
履修上の留意点
毎回出席すること。また、必ずノートと筆記用具を持参して下さい。 数学は一つ一つの積み重ねであるので、欠席した場合には補習が必要です。 また、配布資料を予め読んでおき、分からないところをチェックしておくこと。それら を授業で集中して理解するようにして下さい。 オンライン授業に関しては、WebClassを利用して連絡・配信します。
教科書
WebClassで資料を配布する。
参考書等
その他
講義が理解出来なかった場合は、遠慮なく質問して欲しい。全ての受講生が理解して進 められるよう努力する。

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