RESEARCH OVERVIEW

AIによる任意の周波数列からの
音楽理論生成

任意の周波数列を入力として,各音の役割,和音,旋律パターン,和音進行を大規模言語モデル(LLM)によって構造化し,新しい音楽理論の候補として提示する研究です.

このページについてAIによる音楽理論生成研究の技術的背景と生成例をまとめた解説ページです.このWebページは生成AI(OpenAI ChatGPT)を利用して作成されています.
AUTHOR 平井 辰典 / Tatsunori Hirai 駒澤大学 グローバル・メディア・スタディーズ学部 准教授
PRESENTATION 2026年9月2日 情報処理学会 第147回音楽情報科学研究発表会@北海道情報大学
PUBLICATION 2026年8月 「LLMによる任意の周波数列からの音楽理論の生成」 情報処理学会研究報告 音楽情報科学(MUS)2026-MUS-147 (49)

01 / CONCEPT

何を生成するのか

本研究が対象とするのは,微分音を含む任意の音高体系に対する音楽理論候補です. 既存の12平均律や長短調を前提とせず,入力された周波数列そのものを出発点として, 各音の名称・役割,音同士の機能的関係,和音,旋律上の音高遷移,和音進行をLLMによって構造化し,その後の人との協働による音楽理論構築に繋げます.

対象音高に関する規則

音名,音の役割,音高間の関係,和音,旋律の音高パターン,和音進行

現在の対象外時間・音色等の要素

リズム,音価,テンポ,音色,強弱,歌詞,楽曲形式などは,現状では本研究の生成対象には含めません.

01

音高体系

各周波数に固有の音名と役割を与え,理論内での位置づけを記述します.

02

和音

複数音の組合せから,中心,接続,緊張,解決などの機能を持つ代表的な和音を選択します.

03

旋律パターン

音同士の遷移を,接近,離脱,緊張形成,解決などの機能として構造化します.

04

和音進行

生成された和音間の関係から,展開,接続,解決,終止に相当する進行を記述します.

生成されるものは「完成済みの普遍的理論」ではありません.

LLMが出力する音楽理論は,入力された音高体系から音楽的な規則を考えるための初期候補です.実際の作曲,演奏,聴取評価を通じて,人間が検証・修正しながら更新していくことを想定しています.

02 / PIPELINE

音楽理論生成の全体フロー

周波数列の取得,音響特徴量の計算,LLMによる構造化,試聴・演奏までを一つの生成フローとして扱います.

1

周波数列

手動入力または音素材から代表周波数を取得

2

前処理

最低音基準で1オクターブ内へ折り畳み,昇順化

3

音響特徴量

不協和度からStability / Tensionを算出

4

LLM

音名・和音・旋律・進行・説明文を生成

5

利用

試聴,演奏,作曲,評価,対話的更新

音楽理論生成手法の全体フロー
図:音楽理論生成手法の全体フロー.

03 / REPRESENTATION

AIと人間の双方が扱える理論表現

生成結果は,機械処理に適したJSONと,人間が内容を理解するための自然言語説明の2つの形式で出力します.

STRUCTURED_JSONmachine-readable
{
  "theory_name": "...",
  "pitches": [...],
  "chords": [...],
  "melodic_patterns": [...],
  "chord_patterns": [...]
}
NATURAL_LANGUAGE_DESCRIPTION

理論の意味を文章として説明

理論名の由来,音高体系の特徴,各音・和音の役割,旋律や和音進行の特徴,作曲・演奏時の指針までを日本語で説明します.

Webページ,論文,教材,理論解説ドキュメントへ転用できることを想定しています.

04 / EXAMPLES

生成された音楽理論の例

入力する周波数列の由来が異なると,生成される音名,和音,機能的関係も変化します.

理論名周波数列の由来音数特徴
Gravitonal TheoryLLMで生成した周波数列5Ga,Ve,Li,No,Ziを中心とした基礎的な生成例.生成理論を用いた作曲・演奏にも展開.
双錨環流律ラップ音声の基本周波数分布7ラップのフロウに含まれる音高傾向から,複数の安定点と循環的関係を持つ理論を生成.
黒翼双錨律カラスの鳴き声5カラスの発声音高から代表周波数を抽出し,それを基に音楽理論を生成.
翠啼双峰律ウグイスの鳴き声5ウグイスの鳴き声に現れる複数の周波数ピークを基に,独自の音名と和音機能を生成.

05 / CASE STUDY

Gravitonal Theory

本研究の初期例として生成した5音からなる音楽理論です. Gravitonal Theoryを生成した2026年5月時点では,現在の手法で用いている 安定度 / 緊張度などの音響特徴量の計算は生成パイプラインに実装されていません. そのため,周波数列を起点としてLLMが音名・役割・和音・旋律パターン・和音進行を構造化した 初期的な事例として位置づけています.生成された規則は,その後,試聴,演奏,楽曲制作へ展開しました.

5つの構成音

音名周波数概要試聴
Ga440 Hz理論を構成する基礎音の一つ
Ve495 Hz他音との接続に用いられる音
Li528 Hz和音・旋律の中間的関係を形成
No660 Hz高い安定性を持つ中心的構成音
Zi742 Hz上方の音域を特徴づける構成音

各音はWeb Audio APIによるシンプルな音色で試聴できます.

EXAMPLE CHORDS

主要和音と役割

C-GLNCore Chord

Ga – Li – No

最も安定した中心和音.終止や中心への帰還に用いる.

B-VLNBridge Chord

Ve – Li – No

中心へ向かう方向性を持つ遷移和音.和音間の接続を担う.

D-VNZDrift Chord

Ve – No – Zi

Ziを含む浮遊感と緊張を持つ和音.C-GLNへの解決を促す.

STRUCTURED DATA

Gravitonal Theory サンプルJSON

Gravitonal Theoryの音高,主要和音,旋律パターン,和音進行を,本研究の構造化形式で記述したサンプルです.

JSONをダウンロード
LISTENING EXAMPLES

Gravitonal Theoryによる作曲例

Gravitonal Theoryの音高体系と和音・旋律規則を用いて制作した楽曲例です.

01

No Drift Ⅰ

Gravitonal Theoryを用いた作曲例 1:LLMによる自動生成楽曲

02

Ve Orbit Ⅱ

Gravitonal Theoryを用いた作曲例 2:AI生成楽曲を人手でリミックスした事例事例

03

Tupep

Gravitonal Theoryを用いた作曲例 3:人手での作曲事例

Gravitonal Theoryを用いて制作した楽曲の楽譜
図:Gravitonal Theoryを用いて制作した楽曲「No Drift Ⅰ」の楽譜例(五破線譜表現).

07 / INTERACTIVE PROTOTYPE

音楽理論生成Webアプリケーション(公開停止中)

周波数列の入力,音素材からの周波数抽出,Stability / Tensionの計算,LLMによる音楽理論生成,試聴・演奏,対話的な理論更新を一つの画面から試すためのプロトタイプを開発しています.

現在,Webアプリケーションは学会発表時のデモ用のみの公開としています.一般公開開始時にはこのページからアクセスできるようにする予定です.

現在は公開していません デモ動画を見る

08 / PERSPECTIVE

メタサンプリング:音高体系そのものを創作対象にする

従来の音楽情報処理では,既存の音律や調性体系の中で旋律・和音・楽曲を生成することが多く行われてきました.本研究では,その前段階にある「どの音を使い,どのような関係を与えるか」という理論体系そのものを生成対象として扱います.

これにより,環境音,動物音声,発話,歌唱,任意の録音素材などから得られた周波数構造を,新たな作曲・演奏規則へ変換する「メタサンプリング」の可能性を検討しています.

09 / CITATION

論文を引用する場合

本ページで紹介している音楽理論生成手法を研究・発表等で参照する場合は, 以下の研究報告を引用してください.

CITATION

平井辰典:「LLMによる任意の周波数列からの音楽理論の生成」,情報処理学会研究報告 音楽情報科学(MUS),Vol.2026-MUS-147,No.49,pp.1–15,2026年8月.

BIBTEX
@article{hirai2026llmMusicTheory,
  author  = {平井 辰典},
  title   = {LLMによる任意の周波数列からの音楽理論の生成},
  journal = {情報処理学会研究報告 音楽情報科学(MUS)},
  volume  = {2026-MUS-147},
  number  = {49},
  pages   = {1--15},
  year    = {2026},
  month   = {8}
}