2007年6月1日 EK5118 中村嘉秀
原田和英『巨大人脈SNSのチカラ』朝日新聞社、2007年
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SNSとは
ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略であり、社会的ネットワークをインターネット上で構築するサービスのこと。個人専用のマイページがあり、それが他者のマイページとある関係性のもとで繋がっていることが可視化される。人間のネットワークをオンライン上で活用しようというコンセプトで生まれた。世界中でさまざまな特徴を持ったSNSがある。
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SNSの7つの構成要素
· Identity:自己同一性。一貫した個人の同一性が必要
· Presence:存在。利用者がSNSにいるという息吹を感じられるような仕組み
· Relationships:関係性。SNSの基礎であり人と人との関係性を可視化する仕組み
· Conversations:会話。極論だがメールは返す義務のないテキストの交換でしかない。しかし、SNS上では日記のコメントや掲示板のトピックにおいて複数人でレスが行われ、そこが新しい会話の場となっている場合がある
· Groups:集団。共通のなにかを持った集まり
· Reputation:評判、名声。自分がどのような人間か簡単にわかる仕組み
· Sharing:共有。多くの人が自分のおすすめや気になることを、考えを共有している
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SNSの機能
· Searchable directory:名前だけでなく属性や所属から個人を検索することができる
· High visibility at low cost:ローコストで自分をPRできる
· Receptive audience:適切なコミュニケーションの提示。コンタクトの範囲を制限
· Easy group-forming:オフラインでの団体の設立は一筋縄ではいかないが、SNS上では簡単に行うことができる
· Get visibility into the networks of your connections:人のネットワークが見えるようになった。これがなければSNSは成り立たない
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SNSはインターネットの常識を変えた
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オフラインとオンラインを結びつけた
インターネットで個人名や住所を出すことはあまりなかった。ネット上ではネット上での交流があり匿名が基本だった。しかし、SNSはその二つの断絶された世界を繋ぐことになった。ネット空間と日常生活が繋がったわけだから、当然ながらSNSでは実名を利用し、顔写真を公開するものまで現れた。
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安心した巨大な閉じられた世界
SNSで個人情報を公開する危険性を防ぐ防波堤として登場したのが、招待制。例外はあるが招待制が採用されているSNSの参加者はだれかの知り合いである状態が生まれ、ある種のクローズドな世界となる。
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「多」対「多」のコミュニケーション
今までのインターネットでは「個」対「個」(メッセージのやりとり)や「個」対「多」(一般的なポータルサイトなど)のコミュニケーションが基本だった。しかし、SNSでは情報を発信するのも多数の個人、受信するのも多数の個人。例えば、オンライン上の辞典「Wikipedia」もソーシャルソフトのひとつである。
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世界のSNS
· Myspace
1億2000万人前後が利用するSNS。音楽SNSともいわれ音楽を基本としたコミュニケーションが行われている。ミュージシャンが発売前の音源を公開し宣伝したり、アマチュアとして音楽を公開しその音楽性が評価されデビューをするということも起こった。
世界最大のビジネスSNS。ビジネスのつながりを基本としている。このSNSのプロフィールに必要なことは趣味や血液型ではなく、どのような仕事をしているか、どのような職を経験してきたかという仕事に関係する情報ばかりである。
· thefacebook
学生専用のSNS。ここに参加するためには大学発行のメールアドレスが必要。全米のほとんどの大学生が利用できる。
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Cyworld
韓国のSNS。韓国人口の3分の2が利用しており、韓国においてコミュニケーションの常識にさえもなってきている。最大の特徴は、利用時に「住民基本番号」という韓国政府発行の住基コードが必要なため完全にリアルなオンラインの世界が構築できる点。
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Flickr
世界最大の写真SNS。写真が主役になり、写真を検索することができる。写真にタグをつけることにより、検索が容易になった。
まとめ
2003年頃から世界で流行し始めそれからたった4年。SNSの背景にはメトカルフェの法則というものが存在する。これは利用者が増えればその価値も増殖するということである。これからも利用者は増加するはずで、SNSがもつ力はさらに大きくなるだろう。