ブータン便り NO.6

江口 卓

 11月から公務員の終業時間が午後4時になりました。理由は、寒くなるのと暗くなるのが早くなるためです。3月まで続きます。公務員の昼休みは午後1時から2時なので、午後の就労は2時間しかありません。研究所では帰りのバスが4時に出るので、3時半を過ぎると急ぎの仕事がない限り、帰宅モードになります。4時半には家に帰りつくので、最初は帰ってから寝るまでが長く感じられました。

 1980年代には、公務員の就業時間は8時から14時でした。当時ブータンで働いていた日本人の方の話では、昼食の問題があってそうなっていたとのことでした。当時は、昼食をとれるような食堂も少なく、昼食は家に帰って食べるしかなかったそうです。しかし、家に帰るには、自家用車を持っている人もほとんどなく、タクシーもなかったので、歩いて帰るしかなかったそうです。そうすると時間がかかるので、食事なしで14時まで働いていたということでした。

 今は、役所にはだいたい食堂があります。私の働いているユシパンの研究所にも食堂があります。昼食は、ご飯とおかずとダルという豆のスープという組み合わせが一般的です(写真1)。おかずが、日替わりでチキンや魚や野菜のカレーになったり、ブータンの代表的料理であるエマダツィになったりします。 エマダツィとは、エマが唐辛子で、ダツィがチーズです。つまり唐辛子とチーズを煮込んだ料理で、とても辛いです。ブータンの料理のほとんどは、唐辛子で味付けされているので、ほかの料理も一般的に辛いです。値段は、おかずの種類によって値段が違って25−45Nu(ヌルトラム、1ヌルトラムは約2円)です。ティンプー市内の役所の食堂でも50Nuぐらいだと聞いています。ティンプー市内の一般の食堂では、100Nuぐらいするので、少し安めに値段が設定されています。

写真1 研究所の食堂の昼食
ご飯とダル(奥のおわんの豆のスープ)と魚のカレー(手前右)。魚のカレーは、魚を揚げたものをカレーに煮込んでいます。おかずを汁と一緒にご飯にかけて食べます。ご飯に比べ、おかずが少ないと感じられるかもしれませんが、おかずの味付けが辛いので、ご飯が進みます。ご飯とダルは、ころ合いを見計らって、店の人が追加を持ってきてくれます。ブータン人の半数以上は、ご飯の追加をします。私もまれにご飯を追加してもらうことがありますが、少しと言っても、ブータンのマナーで大目に追加してくれるので、いつも食べすぎたということになります。

 11月は学生にとっては、忙しい月です。ブータンの学校では11月の後半に年度末の試験があります。試験の期間になると、親も子供に勉強を教えるために忙しくなります。この試験が終わると、12月中旬に試験結果を受け取りに学校に1日行かなければなりませんが、2月中旬まで学校は休みとなります。 正式には、12月中旬から2月中旬が休みですが、実質11月の下旬から2月中旬の約2ヶ月半が休みとなります。学生の休みは、この他では学期の変わり目の7月に2週間ほどの夏休みがあります。

 最後に天気の話題を一つ。前に書いたと思いますが、9月23日から晴天が続いて夏のモンスーン季は終わったはずですが、ポストモンスーン季の天気が今年はどうもあまりよくありません。ティンプーでは、10月中旬から10日ほど曇りや雨の日が続きました。その後11月上旬に天気が回復して晴天が続いたのですが、また、11月中旬から下旬にかけて1週間ぐらい曇りの日がつきました。ブータン人は、今年はモンスーンが早くはじまって、遅くまで続いたといいます。4−5月や10−11月の曇りや雨は、夏のモンスーン季とは原因が違いますが、ブータン人にはそう感じられるようです。それにしても、今年は気候的には異常な年のようです。ようやく、11月の終わりになって、また晴れの日が続くようになりました(写真2)。

写真2 ポストモンスーン季のティンプー
自宅のアパートのベランダから北側を見たものです。奥にティンプーの市街地が見えます。その後背の山の稜線は、標高4000m以上です。天気が崩れた後の朝には、後背の山には雪が見えることがありますが、昼には消えます。この写真は、2010年11月5日の朝に撮ったものです。11月下旬も天気は同じようにいいのですが、少しかすんでいるので、11月上旬の写真を掲載しました。

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